MO(Magneto-Optical disk)は1990年代に活躍した大容量リムーバブルメディアのひとつであり、フロッピーディスクの後継として高い注目を集めました。
本記事では、MOディスクの技術的な仕組みや記録原理、他の記憶媒体との比較、そして現在のデータ保存技術への影響について専門的に解説します。
光と磁気を融合した先進的なアプローチがどのようにして誕生し、そしてなぜ消えていったのかを、ITの視点から紐解いていきます。
MO(Magneto-Optical disk)とは?
光磁気ディスクの基本構造と特長
MO(光磁気ディスク)は、レーザー光と磁界を組み合わせてデータを記録・再生する光学式記憶媒体です。
ディスク本体はカートリッジに封入されており、挿入後に高速で回転しながら、光ピックアップによって読み書きが行われます。
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初期モデルでは3.5インチのサイズで128MBの記録が可能。
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記録容量はのちに230MB、540MB、640MB、1.3GB、最終的には2.3GBにまで進化。
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高速回転によってランダムアクセス性能が高く、業務用やバックアップ用途に重宝されました。
MOディスクの記録方式:光と磁気の融合
書き込みのプロセス(熱アシスト磁気記録)
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高出力レーザーを照射して記録層を加熱。
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熱で磁性が一時的に消失(キュリー温度以上)。
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冷却中に電磁石により信号に対応した磁界を与える。
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冷却後、磁性が固定されてデータが記録される。
この方式は「磁気カー効果」と呼ばれる反射光の偏光変化によって読み取られる。
読み出しのプロセス
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弱いレーザー光を当て、磁性に応じた反射偏光の変化をセンサーで読み取る。
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非接触で読み出せるため、メディアの物理的摩耗が少ないという利点があった。
MOの登場とその社会的インパクト
1988年、128MBの衝撃
当時主流だった1.44MBのフロッピーディスクと比べ、約100倍の記憶容量を実現。
これにより、CADデータやDTPデータなど、大容量ファイルの保存が可能となり、特に専門業界での業務用途で需要が急増しました。
用途例
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医療業界:MRIやCTの画像データ保存
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出版業界:印刷用データのバックアップ
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官公庁・研究機関:機密文書のアーカイブ
なぜMOは衰退したのか?
後発のリムーバブルメディアの台頭
2000年代初頭には、以下のような新しい記録媒体が普及し、MOの立場が脅かされていきました。
これにより、コスト・速度・互換性の面で不利となり、2000年代半ばには事実上姿を消しました。
MO技術の現在への影響
光磁気技術は今も生きている?
MOの技術的アプローチである「熱アシスト磁気記録(HAMR)」は、現在のHDDの高密度化技術としても再注目されています。
また、光学ピックアップと磁界の融合という考え方は、Blu-rayディスクなどの後継技術にも一部応用されています。
つまり、MOは時代遅れではなく、進化の土台となった重要な技術でもあります。
まとめ
MO(Magneto-Optical disk)は、レーザーと磁気を組み合わせた先進的な記録媒体として登場し、1990年代の大容量データ保存ニーズに応えた画期的な技術でした。
その後、より利便性の高い記憶媒体の登場により市場から姿を消しましたが、その技術的な基盤は現代の記録技術にも影響を与えています。
キーワードの重要性:
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MOディスク=懐かしの記憶メディア
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光磁気記録=今も活きる高度技術
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リムーバブルメディア=持ち運び可能な記憶革命
MOを知ることは、データ記録の進化を知ること。
技術の進歩を理解するための一助として、今なお価値のある知識と言えるでしょう。
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