Vision Transformer(ViT)とは?CNNを超える可能性を持つ画像認識AIをわかりやすく解説

Vision Transformer(ViT)とは?

画像認識AIの世界では長年、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が中心的な役割を担ってきました。AlexNet、VGG、ResNetなど、多くの高性能モデルがCNNを基盤として発展してきた歴史があります。

しかし近年、その常識を大きく変えた技術が登場しました。それが「Vision Transformer(ViT)」です。

ViTは、自然言語処理(NLP)で大きな成功を収めたTransformerの仕組みを画像認識へ応用したモデルです。

従来のCNNとは異なるアプローチを採用し、十分な学習データがあれば高い性能を発揮することで注目を集めました。

本記事では、Vision Transformer(ViT)の仕組みや特徴、CNNとの違い、活用分野についてわかりやすく解説します。

Vision Transformer(ViT)とは?

Vision Transformer(ViT)は、画像を小さな領域に分割し、その情報をTransformerによって処理する画像認識モデルです。

従来のCNNは、畳み込み演算を使って画像の特徴を段階的に抽出していました。

一方ViTでは、画像を「単語の並び」のように扱います。

これは自然言語処理において、文章を単語単位で処理する考え方に近い仕組みです。

例えば1枚の画像を細かなパッチ(小領域)へ分割します。

例:

1枚の224×224画像

16×16ピクセル単位に分割

複数の小さな画像データへ変換

そして各パッチを順番にTransformerへ入力します。

ViTの仕組み

画像をパッチに分割する

ViTでは画像を一定サイズの小領域(パッチ)へ分割します。

イメージとしては以下のような状態です。

□ □ □ □
□ □ □ □
□ □ □ □
□ □ □ □

それぞれの小領域が「1つの単語」のような役割を持ちます。

画像全体を細かい部品に分けることで、Transformerが扱える形式へ変換しています。

パッチをベクトル化する

分割した画像パッチは、そのままでは利用できません。

そこで各パッチを数値ベクトルへ変換します。

さらに位置情報も追加します。

これを「位置埋め込み(Position Embedding)」と呼びます。

位置情報がないと、「この部品が画像のどこにあるか」が分からなくなるためです。

Self-Attentionで関係性を学習する

ViT最大の特徴がSelf-Attention(自己注意機構)です。

これは画像内の離れた領域同士の関係性を同時に学習する仕組みです。

例えば犬の画像なら、

  • 胴体

が画像内の離れた位置に存在します。

CNNは局所的な特徴を少しずつ広げながら学習します。

一方ViTは最初から画像全体を見渡し、「どの部分同士が重要か」を直接学習できます。

これが大きな違いです。

CNNとの違い

ViTとCNNには設計思想に大きな違いがあります。

比較項目 CNN Vision Transformer
特徴抽出 畳み込み Attention
情報取得範囲 局所的 全体的
画像処理方法 フィルタ適用 パッチ分割
学習データ依存 比較的少ない 大量データが必要
長距離依存関係 苦手 得意

CNNは画像の近くの特徴を積み重ねて理解します。

一方ViTは画像全体を一度に見て関係性を把握できます。

ViTが注目された理由

大規模データで性能が大幅向上

ViTは特に大規模データセットで力を発揮します。

学習データが十分ある環境では、従来のCNNを上回る性能が報告されました。

近年は大量データを扱える環境が増えたことで、ViTの価値が高まっています。

Transformer技術を画像分野へ拡張した

Transformerはもともと文章処理向けでした。

ViTの登場によって、Transformerが画像認識にも有効であることが証明されました。

これはAI研究全体にも大きな影響を与えています。

ViTの課題

ViTにも弱点があります。

大量の学習データが必要

CNNは比較的少ないデータでも学習しやすい特徴があります。

一方ViTは、データ量が不足すると性能が出にくい傾向があります。

計算量が大きい

Self-Attentionは画像全体の関係を計算するため、計算コストが増加します。

高解像度画像では特に負荷が大きくなります。

この課題を改善するために以下の派生モデルが登場しています。

  • DeiT
  • Swin Transformer
  • PVT
  • BEiT

現在も改良が続いています。

Vision Transformerの活用分野

ViTはさまざまな画像認識分野で利用されています。

自動運転

道路状況の把握や障害物認識に利用されています。

例:

  • 歩行者検出
  • 信号認識
  • 車両検知

医療画像解析

高精度な画像認識が求められる医療分野でも利用されています。

例:

  • 腫瘍検出
  • 病変領域抽出
  • MRI画像解析

顔認識・監視システム

人物識別や監視カメラ映像の解析にも応用されています。

衛星画像解析

広範囲の画像全体を把握する能力が活かされています。

まとめ

Vision Transformer(ViT)は、Transformerを画像認識へ応用した革新的なモデルです。

主な特徴を整理すると以下の通りです。

  • 画像をパッチへ分割して処理する
  • Self-Attentionで全体関係を学習
  • CNNより長距離の特徴関係に強い
  • 大規模データで高い性能を発揮
  • 次世代画像認識モデルの基盤になっている

ViTの登場は、「画像認識=CNN」という常識を大きく変えました。

現在も多くの派生モデルが研究されており、今後のAI技術の発展を支える重要な基盤技術として期待されています。

こちらもご覧ください:SSD(Single Shot MultiBox Detector)とは?YOLOと並ぶ高速な物体検出モデルをわかりやすく解説

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