EUC(End-User Computing)は、ITシステムの運用において、従業員や業務部門が自らシステムやソフトウェアの構築・運用を行う概念です。
1970年代後半に登場したこのコンセプトは、時代とともに進化し、現在ではビジネスの効率化や業務の自動化に大きく寄与しています。
本記事では、EUCの基本的な考え方やその歴史、現代における役割について詳しく解説します。
EUCの基本概念と歴史
初期のEUC
EUCという言葉が最初に使用されたのは1970年代後半のことです。
当時は、業務にコンピュータを使用する際、専門の技術者に依頼する必要がありました。
しかし、EUCの登場により、利用者自身がコンピュータを操作し、業務の効率化を図ることができるようになりました。
特に、経営者や上級管理職向けのDSS(意思決定支援システム)などがEUCの初期形態として広まりました。
進化するEUC
1990年代後半には、多くの企業でパソコンが普及し、従業員が自分自身で業務に必要なソフトウェアを操作することが一般的になりました。
この時期から、EUCの意味はさらに広がり、従業員が単に提供されたシステムを使うだけでなく、ExcelマクロやVBAなどのツールを活用して業務に特化したアプリケーションや自動化プログラムを自ら開発・運用することが主流になりました。
現代のEUCとその役割
業務効率化と自動化の重要性
現在の企業では、業務プロセスを効率化するためにEUCは欠かせない要素となっています。
従業員が自らツールを開発・運用することにより、IT部門の負担を軽減し、業務に特化したソリューションを迅速に提供できる点が大きな利点です。
特に、RPA(Robotics Process Automation)の導入が進んでおり、反復的な業務を自動化することで業務の効率が大幅に向上します。
RPAは、EUCの概念を進化させた最新の技術であり、特に定型的な作業を自動化することに優れています。
EUCの課題とシャドーIT
一方で、EUCには課題も存在します。特にシャドーITと呼ばれる現象は問題視されています。
これは、従業員や部門がIT部門の統制外で独自にツールやアプリケーションを導入・使用することを指し、システムのセキュリティや運用の効率に悪影響を与える可能性があります。
シャドーITによるトラブルを防ぐためには、企業内でEUCに関するガイドラインを設定し、一定のルールのもとで実施することが重要です。
これにより、無秩序なITシステムの導入を防ぎつつ、業務の効率化を図ることが可能です。
EUCの具体的な事例
RPAを活用した業務自動化
ある企業では、定型的なデータ入力業務をRPAによって自動化し、従業員の手作業を大幅に削減しました。
これにより、作業の正確性が向上し、人件費の削減にもつながりました。
Excelマクロによる業務効率化
Excelのマクロ機能を活用して、業務データの自動集計やレポート作成を行う事例も多く見られます。
これにより、手作業で行っていた業務が自動化され、短時間で大量のデータ処理が可能になりました。
まとめ
エンドユーザーコンピューティング(EUC)は、企業内でのIT活用を促進し、業務効率化や自動化に寄与する重要な概念です。
EUCを適切に活用することで、従業員は自ら業務に必要なツールを開発・運用でき、IT部門の負担を軽減しつつビジネスの成長を支えることができます。
ただし、シャドーITの問題にも注意が必要であり、企業内での適切なガイドラインのもとで運用することが求められます。