コールドバックアップ(cold backup)は、コンピュータに保存されたデータを別の機器に複製して保管するためのバックアップ手法の一つです。
この方法は、データを更新するアプリケーションを停止した状態で実施され、企業の情報システムにおいて重要な役割を果たします。
本記事では、コールドバックアップの定義、実施方法、利点、そして他のバックアップ方式との違いについて詳しく解説します。
コールドバックアップの基本概念
コールドバックアップの定義
コールドバックアップとは、データベースシステムや情報システムにおいて、データを一時的に停止した状態で行うバックアップです。
この方法では、データの追加、更新、削除が行われる可能性のあるアプリケーションを終了させ、システムの操作を一時的に禁じた上でバックアップを実施します。
これにより、特定の時点でのデータ全体を正確に取得できるため、整合性と一貫性が保たれます。
実施方法
コールドバックアップを実施する際には、次の手順が一般的です:
1.システムの停止:データベースや関連するアプリケーションを全て終了させます。
2.バックアップの開始:データを別の機器に複製します。
これには、ストレージデバイスやクラウドストレージが利用されることがあります。
3.システムの再起動:バックアップが完了したら、システムを再起動し、通常の業務を再開します。
コールドバックアップのメリットとデメリット
メリット
- データの整合性:バックアップ中にデータが変更されないため、特定時点での整合性のあるデータが取得できます。
- 完全なデータの取得:データの追加や削除が行われていないため、全ての情報を正確に保存できます。
デメリット
- 業務の停止:バックアップを行うためにシステムが停止するため、業務上の効率が落ちる可能性があります。
- 稼働率の低下:ユーザーがシステムを操作できないため、業務の継続性に影響が出る場合があります。
コールドバックアップと他のバックアップ方式
ホットバックアップとの違い
コールドバックアップと対比されるのが、ホットバックアップ(hot backup)です。
ホットバックアップは、システムが稼働している状態で行われ、利用者がシステムを操作しながらバックアップが可能です。
ただし、データの整合性が保たれない場合があるため、特定の要件が厳しくないシステムで実施されます。
オンラインバックアップ
オンラインバックアップは、データが常に更新されている状態で行われるため、実施中にデータが変更される可能性があります。
これに対し、コールドバックアップはバックアップ中のデータの変更を防ぐため、より安全性が高いとされています。
まとめ
コールドバックアップは、データの整合性と一貫性を重視した重要なバックアップ手法です。
業務の稼働を一時的に停止させることで、特定時点での正確なデータの取得が可能になりますが、業務効率が低下するデメリットもあります。
企業や組織は、業務の特性や要件に応じて、コールドバックアップと他のバックアップ方式を使い分けることが重要です。
データの安全性を確保するためには、コールドバックアップの導入を検討する価値があります。