システムインテグレータ（System Integrator、SIer）は、企業や行政機関における情報システムの構築や運用を総合的に請け負う事業者です。
本記事では、システムインテグレータの役割、業務内容、分類、および日本における特異性について詳しく解説します。
システムインテグレータの役割
1. システムインテグレーションの定義
システムインテグレーション（SI）は、異なるコンポーネントを統合し、一体化して機能するようにするプロセスを指します。
システムインテグレータは、顧客のビジネスニーズを分析し、適切な情報システムを設計・開発します。
2. システムインテグレータの業務内容
システムインテグレータは以下の業務を行います：
- 情報システムの企画・設計
- ソフトウェア開発
- ハードウェアやパッケージソフトの調達
- 現場への設置およびシステム構築
- エンドユーザーへの教育・研修
- 運用・保守、更新・改善の契約
これらの業務を通じて、顧客の業務を効率化し、システムの持続可能性を高めます。
システムインテグレータの特徴
1. 上流工程の専門性
大規模なシステムインテグレータは、営業や企画、設計などの上流工程に特化し、実作業は多くの場合、下請け企業に委託します。
このため、プロジェクトの進捗管理や顧客とのコミュニケーションが重要な役割を果たします。
2. 多重下請け構造
下請け企業は、受注した業務をさらに細分化し、2次、3次の下請けへと流れることが一般的です。
この多重下請け構造は、建設業界に似た「ITゼネコン」と呼ばれることもあります。
このような構造は、品質管理や進捗管理において課題をもたらすことがあります。
3. 日本における独自の発展
日本では、大企業や官庁がオーダーメイドのシステムを一括発注する傾向が強く、システムインテグレータ企業は特有の発展を遂げています。
一方、アメリカでは自社での情報システムの開発やパッケージソフトの利用が主流です。
システムインテグレータの分類
1. メーカー系（ハードベンダー系）
古くからメインフレームの開発・販売を行っている企業には、NEC、富士通、日立製作所などがあります。
これらの企業はハードウェアに強みを持ち、システム全体のインテグレーションも手掛けています。
2. ユーザー系
大企業の情報システム子会社から発展した企業には、NTTデータや野村総合研究所などが含まれます。
これらの企業は、特に顧客との密な関係を築くことに力を入れています。
3. 外資系および独立系
日本IBMやアクセンチュアといった外資系企業や、大塚商会や富士ソフトなどの独立系企業も存在します。
これらの企業は、特定の技術に強みを持ち、特定のニーズに応じたサービスを提供しています。
まとめ
システムインテグレータ（SIer）は、企業や行政の情報システムの構築や運用において重要な役割を果たしています。
多様な業務内容や上流工程における専門性を持つシステムインテグレータは、顧客のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。
日本独自の市場環境において、システムインテグレータはその特性を活かし、持続可能なビジネスを展開しています。