スプリットブレインシンドローム(split-brain syndrome)は、クラスタシステムにおける深刻な障害状態であり、特に高可用性クラスタ(HAクラスタ)で問題となります。
本記事では、スプリットブレインシンドロームの定義、原因、影響、及びその対策について詳しく解説します。
スプリットブレインシンドロームの定義
スプリットブレインシンドロームの概念
スプリットブレインシンドロームとは、クラスタシステムにおいて、アクティブ/スタンバイ構成が正しく機能せず、複数の系統が同時に稼働状態になってしまう現象を指します。
これにより、外部からのサービス提供が正確に行えなくなり、データの破損や処理の矛盾を引き起こす可能性があります。
具体的な例
例えば、あるクラスタシステムが稼働中に通信が断絶し、待機系が稼働系の状態を認識できなくなると、待機系が誤って起動することがあります。
これにより、両系統が同時にサービスを提供しようとし、外部のユーザーはどちらにアクセスすれば良いのか分からなくなります。
スプリットブレインシンドロームの原因
通信の障害
スプリットブレインシンドロームの主な原因は、ノード間の通信が断絶されることです。
これにより、各ノードが互いの稼働状況を確認できなくなります。
通信障害が発生する理由には、ネットワークの物理的な障害や設定ミスなどがあります。
システムの構成
アクティブ/スタンバイ構成において、待機系が稼働系の停止を正確に検知できない場合、誤って待機系が起動します。
このため、クラスタシステムの設計において、通信の冗長性や健全性を確保することが重要です。
スプリットブレインシンドロームの影響
データの破損
両系統が同時に稼働することで、共有ストレージに同時に読み書きが発生し、データの競合状態が生じます。
これにより、データの破損や一貫性の喪失が起こる可能性があります。
サービスの不安定性
スプリットブレインシンドロームが発生すると、ユーザーはどちらのシステムにアクセスすべきか分からなくなり、サービスの安定性が低下します。
このような状況は、顧客の信頼を損なう原因にもなります。
スプリットブレインシンドロームの対策
クラスタソフトウェアの活用
一部のクラスタソフトウェアは、ストレージシステムを介して生存ノードを決定する機能を持っています。
この仕組みにより、正確な状態確認が可能となり、スプリットブレインシンドロームのリスクを軽減できます。
通信の冗長性確保
ノード間の通信が断絶しないように、ネットワークの冗長性を確保することも重要です。
複数の通信経路を設けることで、片方の経路が障害を起こしても、もう一方の経路が機能し続けます。
まとめ
スプリットブレインシンドロームは、クラスタシステムにおける重大な障害であり、その影響はデータの破損やサービスの不安定性に直結します。
通信の冗長性を確保し、適切なクラスタソフトウェアを活用することで、このリスクを軽減することが可能です。システムの設計段階からこの問題に配慮し、安全かつ安定したサービス提供を目指しましょう。