**スループット(throughput)**は、ITの分野における重要な指標であり、機器や通信路の性能を測定するために使用されます。
本記事では、スループットの定義、計測方法、実効スループットとの違い、そしてレイテンシとの関係について詳しく解説します。
スループットの定義
スループットとは
スループットは、単位時間あたりに処理できる量を指します。
コンピュータシステムでは、特定の時間内に実行できる処理の件数や、通信回線でのデータの実効伝送量を示します。
この指標は、コンピュータの性能やネットワークの効率を理解するための基礎的な要素です。
スループットの計測方法
処理の場合
コンピュータの性能を評価する際、スループットは単位時間あたりに完遂できる処理の回数を示します。
これには、CPU、メモリ、ストレージなどの構成が複雑に影響します。
業界団体が用意したベンチマークプログラムを実行して、相対的なスループットを計測することが一般的です。
通信の場合
通信におけるスループットは、データの送受信能力を示します。単位としては「ビット毎秒(bps)」や「バイト毎秒(Bytes/s)」が使用され、これらに接頭辞(例:Mbps、MBytes/s)を付けて表現されます。
スループットは、伝送路が運べる理論的なデータ量から、オーバーヘッドを差し引いた実際に伝達されるデータ量を測定します。
スループットとレイテンシ
スループットの重要性
データの処理や通信の「速さ」はスループットだけで決まるわけではありません。
特に、応答を待つ時間(レイテンシ)が大きく影響する場合があります。
大量のデータを連続的に扱う場合はスループットが重要ですが、短時間に複数の応答を待つ場合、レイテンシが支配的になります。
例:レイテンシの影響
例えば、高スループットの衛星回線を利用してテレビ中継を行う場合でも、出演者の発言ごとに数秒の遅延が発生することがあります。
この遅延は、通信距離によるレイテンシの影響です。
実効スループット(Effective Throughput)
実効スループットの定義
実効スループットは、実際に通信や計算を行ったときの単位時間あたりの処理能力やデータ転送量を示します。
理論的な最大処理能力(理論スループット)と比較して、実効スループットは様々な条件によって変化します。
通信速度における実効スループット
通信速度の観点では、理論上の最大データ転送量からエラー訂正やプロトコルのオーバーヘッドを差し引いた速度が実効スループットです。
このため、実効スループットは通信環境や転送するデータの種類によって影響を受けます。
まとめ
スループットは、IT分野における処理能力や通信性能の重要な指標です。
処理や通信におけるスループットを理解することで、システムの効率を向上させるための適切な戦略を立てることが可能になります。
また、実効スループットやレイテンシとの関連性を把握することで、より効果的なデータ処理と通信環境の最適化が実現できます。
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