ダーティリード(dirty read)は、データベースシステムにおけるトランザクション処理の一種で、未確定のデータを他のトランザクションが読み取ることによる問題です。
本記事では、ダーティリードの定義や発生するメカニズム、そしてそれを防止するための対策について詳しく解説します。
データベースの整合性を保つために、ダーティリードの理解は不可欠です。
ダーティリードの基本概念
ダーティリードの定義
ダーティリードとは、あるトランザクションが処理中に書き込んだ未確定のデータを、他のトランザクションが誤って読み込む現象を指します。
例えば、あるトランザクションがデータを変更し、その変更がコミットされていない状態で別のトランザクションがそのデータを読み込むと、最終的なデータが確定する前に誤った情報を基に処理が進んでしまうことになります。
発生するシチュエーション
ダーティリードは、複数のトランザクションが並行して実行される際に発生します。
具体的には、以下のようなシチュエーションが考えられます。
- トランザクションAがデータを更新し、その変更をコミットしない。
- トランザクションBが同時にそのデータを読み込み、処理を進める。
- トランザクションAが最終的にロールバックすると、トランザクションBは存在しないデータに基づいた処理を行ってしまう。
ダーティリードを防ぐための対策
トランザクション分離レベルの設定
ダーティリードを防ぐためには、トランザクションの分離レベルを”READ COMMITTED”に設定することが重要です。
この設定により、トランザクションが終了するまで、他のトランザクションはそのデータを読み取ることができなくなります。
具体的な対策としては、以下のような方法があります。
- ロック機構の導入: トランザクション中に変更されたデータにロックをかけることで、他のトランザクションがそのデータにアクセスできないようにする。
- バージョン管理: データベースにおいて、データの変更が行われるたびに新しいバージョンを作成し、過去のデータを保持することで、他のトランザクションが確定したデータを読み取れるようにする。
他のトランザクション関連の問題
ダーティリードと同様に、並列トランザクションに起因する問題には以下のようなものがあります。
ノンリピータブルリード(non-repeatable read)
同じトランザクション内で同じデータを複数回読み込んだ際に、別のトランザクションによってそのデータが更新されることです。
例えば、トランザクションAがデータを読み込んだ後、トランザクションBがそのデータを更新し、再度トランザクションAが同じデータを読み込むと、異なる結果を得ることになります。
ファントムリード(phantom read)
特定の条件に基づいてデータを読み込む際に、別のトランザクションによって新たなレコードが追加されることです。
例えば、トランザクションAが特定の条件に一致するデータを読み込んだ後、トランザクションBが新しいレコードを追加すると、トランザクションAが再度同じ条件でデータを読み込んだ際に、異なる結果が得られます。
まとめ
ダーティリードは、データベースにおけるトランザクション処理において、未確定なデータを他のトランザクションが読み込むことによる深刻な問題です。
これを防ぐためには、トランザクションの分離レベルを適切に設定し、ロックやバージョン管理の手法を用いることが重要です。
ダーティリードの理解と対策を講じることで、データベースの整合性を保ち、信頼性の高いシステムを構築することが可能となります。