ネガティブキャッシュとは?DNSでの役割と効果的な活用法

ネガティブキャッシュ(Negative Cache)は、システムの効率化と応答速度の向上を目的とした手法の一つで、特にDNS(ドメインネームシステム)でよく使用されています。

通常のキャッシュが存在するデータを保存するのに対して、ネガティブキャッシュは「存在しない」という情報を一定期間保持し、再度同じ問い合わせが来た際に即座に応答することができます。

本記事では、ネガティブキャッシュの仕組み、特にDNSにおける活用方法について詳しく解説します。

ネガティブキャッシュの基本

ネガティブキャッシュとは?

ネガティブキャッシュは、名前が示す通り「存在しない情報」をキャッシュする手法です。

通常、DNSクライアントがドメイン名を解決するためにDNSサーバに問い合わせを行いますが、そのドメイン名が存在しない場合、DNSサーバは通常「NXDOMAIN」というステータスで応答します。

この情報をネガティブキャッシュとして保存しておき、同じドメイン名に対する再検索時に、再度探すことなく「存在しない」という結果を即座に返すことができます。

  • 存在しない情報のキャッシュ
    ネガティブキャッシュは、「存在しなかった」と確認されたドメイン名の情報を一定期間保管します。

  • これにより、同じドメイン名が再度問い合わせられた際に、無駄な問い合わせを省き、応答時間を短縮することができます。

ネガティブキャッシュの役割

ネガティブキャッシュは、主に以下のような役割を果たします:

1.検索の効率化
ネガティブキャッシュは、再度存在しないドメイン名が問い合わせられた際に、DNSサーバが再検索を行わずに即座に「存在しない」という結果を返すことで、検索時間を大幅に短縮します。

2.システム負荷の軽減
ネガティブキャッシュにより、無駄なリソースを消費することなく、同じドメイン名に対する重複した問い合わせを防ぐことができます。

これにより、システム全体の負荷が軽減されます。

DNSにおけるネガティブキャッシュ

DNSでのネガティブキャッシュの仕組み

DNSでは、ネガティブキャッシュが重要な役割を果たします。

通常、DNSクライアントが特定のドメイン名のIPアドレスを知りたいとき、DNSキャッシュサーバに問い合わせを行います。

その後、DNSキャッシュサーバは権威DNSサーバに問い合わせ、取得した情報をキャッシュして再利用します。

しかし、ドメイン名が存在しない場合、ネガティブキャッシュが活躍します。

  • NXDOMAINとキャッシュの保存
    ドメイン名が存在しない場合、DNSサーバは「NXDOMAIN」ステータスを返し、この情報をネガティブキャッシュとして保存します。

  • これにより、同じドメイン名の再問い合わせ時に、再度権威DNSサーバに問い合わせることなく「存在しない」という応答を即座に返すことができます。

ネガティブキャッシュのTTL(Time To Live)

ネガティブキャッシュには、TTL(Time To Live)という期限が設定されています。

TTLは、キャッシュされた情報が有効である期間を示します。

TTLが切れると、キャッシュ情報は無効となり、再度検索が行われます。

ネガティブキャッシュの場合、TTLが過ぎると、再度ドメイン名の存在確認が行われます。

  • MINIMUM値とTTLの関係
    権威DNSサーバでは、存在しないドメインの情報を保存する際に、SOAレコードの末尾にある「MINIMUM」値を使ってTTLが指定されます。

  • この値は、存在しないドメインに関しても、ネガティブキャッシュがどれくらいの期間有効であるかを決定します。

ネガティブキャッシュの活用例

ネガティブキャッシュを利用したパフォーマンス向上

多くのインターネットサービスやシステムでは、ネガティブキャッシュを活用して、パフォーマンスを向上させています。

例えば、大規模なDNSサーバやキャッシュサーバでは、無駄な検索を防ぐためにネガティブキャッシュが利用され、トラフィックを効率的に処理することが可能です。

  • 例:ウェブサイトの検索エンジン最適化(SEO)
    ウェブサイトを運営する際、ユーザーがアクセスしたURLが存在しない場合、その情報をネガティブキャッシュとして保持することで、次回のアクセス時に「存在しないページ」のレスポンスを即座に返し、無駄なリソースを使わずに済みます。

  • キャッシュ管理とパフォーマンス
    ネガティブキャッシュを適切に管理することで、DNSクエリに対するレスポンスタイムを改善し、システム全体のパフォーマンスを向上させることができます。

まとめ

ネガティブキャッシュ(Negative Cache)は、DNSをはじめとするシステムで非常に効果的なキャッシュ手法の一つです。

存在しない情報を一定期間保持し、再検索を効率化することにより、システムの応答速度を向上させ、リソースの無駄遣いを防ぐ役割を果たします。

特に大規模なインターネットシステムやDNSサーバにおいては、ネガティブキャッシュの利用がパフォーマンス向上に貢献しています。

ネガティブキャッシュのTTL設定や管理を適切に行うことが、効率的なシステム運営にとって重要です。

さらに参考してください:

リゾルバ(Resolver)とは?DNSの名前解決の仕組みと役割を解説

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