パスワード付きZipファイル(password-protected zip file)は、ファイルを圧縮しながら、アクセスを制限するための重要な手段です。
本記事では、パスワード付きZipファイルの基本概念、暗号化方式の違い、そして一般的な利用方法について詳しく解説します。
これにより、情報セキュリティに関心のある読者が、パスワード付きZipファイルの利用におけるリスクとメリットを理解する手助けをします。
パスワード付きZipファイルの基本概念
パスワード付きZipファイルとは?
パスワード付きZipファイルは、一般的なZip形式のファイルで、パスワードによって暗号化されています。
これにより、パスワードを知らない人はファイルの内容を取り出すことができません。
Zip形式は、WindowsやmacOSで広く使用されており、複数のファイルやディレクトリを一つにまとめ、圧縮してファイルサイズを小さくするための手段として利用されています。
暗号化プロセス
通常のZipファイルは、対応ソフトウェアを使って簡単に内部のファイルを復元できますが、パスワード付きZipファイルでは、圧縮時に指定されたパスワードによって暗号化が行われます。
このため、正しいパスワードを入力しない限り、ファイルを展開することはできません。
暗号化されるのはファイルのデータ本体のみで、ファイル名やディレクトリ名は復号しなくても見ることができます。
暗号化方式の違い
ZipCryptoとAES方式
パスワード付きZipファイルで使用される主な暗号化方式には、以下の2つがあります。
1. ZipCrypto
- 概要: 古いZip仕様から存在し、広く対応ソフトウェアでサポートされています。
- 特性: 鍵長が96ビットと短く、既知平文攻撃に対して脆弱です。
- このため、現代のコンピュータを使った解析でも短時間で解読される可能性があります。
2. AES(Advanced Encryption Standard)
- 概要: より高い安全性を提供する方式で、256ビットの鍵を使用します。
- 特性: セキュリティが向上しますが、7-Zipなど特定のソフトウェアを使用しなければ復号できません。
- さらに、短いパスワードを使用すると依然として脆弱です。
PPAPとその課題
PPAPとは?
PPAP(Password Protected Zip Attachment Protocol)は、電子メールでファイルを添付する際に、セキュリティ対策としてパスワード付きZipファイルを使用し、別のメールでパスワードを通知する手法を指します。
この方法では、攻撃者がファイルを入手しても、単体ではパスワードが分からず、復号できません。
PPAPのリスク
しかし、PPAPには以下のようなリスクがあります:
- 安全性の欠如: ZipCrypto形式のパスワード付きZipファイルは、既に安全ではないとされています。
- 同経路での情報漏洩: 暗号化ファイルと同じ経路でパスワードを配送するため、攻撃者は両方を入手できる可能性があります。
このため、2020年頃からPPAPの廃止や禁止の動きが広がっています。
まとめ
パスワード付きZipファイルは、データを安全に保護するための便利な手段ですが、その暗号化方式や利用方法には注意が必要です。
特に、ZipCrypto方式の脆弱性やPPAPのリスクを理解することで、より安全な情報管理が可能になります。
今後、AES方式を用いた堅牢なセキュリティ対策を講じることが求められるでしょう。
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