ファットクライアント(fat client)とは、クライアントサーバ型のコンピュータシステムにおいて、ユーザーが操作するクライアント側に多くの機能が実装されているシステムのことです。
本記事では、ファットクライアントの特徴、利点、欠点、そしてシンクライアントとの違いについて詳しく解説します。
ファットクライアントの基本概念
定義
ファットクライアントは、従来型のクライアントサーバシステムで使用され、サーバーはデータの保管や提供など最低限の機能に徹し、クライアント側でデータの表示や操作を行います。
このシステムでは、ユーザーインターフェースや演算、データの加工などの機能の大半がクライアントソフトに依存しています。
特徴
- オフライン利用が可能: ファットクライアントは、サーバーからの通信が少なく、場合によってはオフライン環境でも機能します。
- 高速な処理: クライアント側で多くの処理を行うため、反応速度が速く、軽快に動作します。
- サーバーの性能要求が低い: サーバーはデータを提供する役割に徹するため、性能がそれほど高くなくても運用できます。
ファットクライアントの利点と欠点
利点
- コスト効率: サーバーの性能要件が低いため、廉価な機種を選択可能です。
- ユーザー体験: ローカルで多くの処理が行われるため、使用感が良く、操作がスムーズです。
- 柔軟性: オフライン環境でも利用できるため、インターネット接続に依存しません。
欠点
- 高いクライアント要求: クライアント側のコンピュータ性能が高い必要があり、トータルのコストが増加することがあります。
- メンテナンスコスト: クライアント側のOSやソフトウェアの導入、更新作業が必要で、手間がかかります。
- セキュリティリスク: クライアント側にストレージを持つ場合、データの一時保管がセキュリティ上の弱点になる可能性があります。
シンクライアントとの違い
定義と機能
シンクライアント(thin client)は、入力機能のみを持ち、サーバー側で全てのデータ処理を行います。
クライアントは、サーバーからリアルタイムにデータや機能を呼び出すことができ、軽量な構成を持っています。
利用シーン
- ファットクライアント: グラフィック処理やローカルでの計算が必要なアプリケーションに適しています。
- 例: CADソフトウェア。
- シンクライアント: 複数のユーザーが同時に使用する環境や、セキュリティが重視される場合に有効です。
- 例: 企業のデータセンター。
まとめ
ファットクライアントは、クライアントサーバ型システムにおいて、ユーザーの操作を迅速かつ効率的に行うための重要な構成要素です。
オフライン利用や高速な処理が可能な一方で、クライアントの性能要求やメンテナンスコストが課題となることがあります。
シンクライアントとの比較を通じて、それぞれの特性や利点を理解し、適切なシステムを選定することが重要です。
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