フェージング(fading)は、携帯電話や無線通信において、信号の受信レベルが変動する現象を指します。
この現象は、通信品質の低下や途絶を引き起こす原因となるため、特に重要な問題です。
本記事では、フェージングの種類や原因、影響を軽減するための技術について詳しく解説します。
フェージングの定義と影響
フェージングとは?
フェージングは、無線通信の環境において、さまざまな要因によって電波の強度が変動する現象です。
特に、携帯電話のような移動体通信では、周囲の地形や障害物の影響を受けやすくなります。
この変動が大きいと、通信が不安定になり、通話の品質が低下することがあります。
フェージングの種類
フェージングは、原因によっていくつかの種類に分類されます。
以下は主要な分類です。
- 干渉性フェージング: 地形や障害物による電波の回折や反射によって生じるもので、複数の到達経路(マルチパス)を形成します。この場合、信号の経路が異なるため、受信機の移動に伴って受信信号の強度が変化します。
- 偏波性フェージング: 電波の偏波状態が変化することで生じるフェージングです。これは、特定の方向に偏った電波が、受信機によって異なる強度で受信されることによります。
- 跳躍性フェージング: 無線通信の距離によって生じるフェージングで、通信の途中に物体がある場合に特に顕著になります。
- 吸収性フェージング: 環境中の物質(雨、木々など)が電波を吸収することで信号強度が低下する現象です。
- 選択性フェージング: 複数の周波数が異なる程度で影響を受ける場合に発生します。
- K形フェージング: 特定の条件下で発生する、数学的に特定されたフェージングの一種です。
干渉性フェージングとその対策
マルチパスフェージング
特に問題となるのが、干渉性フェージングです。
これは、地形や障害物による電波の回折や反射が原因で、複数の信号経路(マルチパス)が形成されることから発生します。
移動する無線機に対して、それぞれの経路長が異なるため、受信信号が干渉し合い、品質が低下します。
この現象をマルチパスフェージングとも呼びます。
ダイバーシティ技術
干渉性フェージングの影響を軽減するための技術として、ダイバーシティ(diversity)技術が挙げられます。
これは、異なる属性を持つ複数のアンテナを同時に使用し、電波状況が最も良好な信号を選択して利用する方法です。
具体的には、以下の方法が考えられます。
- 空間ダイバーシティ: 複数のアンテナを異なる位置に配置することで、異なる信号を受信します。
- 時間ダイバーシティ: 時間的に異なる瞬間に同じ信号を受信し、最も良好な状態の信号を選択します。
- 周波数ダイバーシティ: 異なる周波数帯域を利用して信号を受信し、最も強い信号を選ぶ方法です。
まとめ
フェージングは無線通信における重要な現象であり、その影響を理解することは、通信品質を向上させるために不可欠です。
特に、干渉性フェージングは通信に多大な影響を与えるため、ダイバーシティ技術を用いた対策が有効です。
これにより、信号の品質を保ちながら、安定した通信を実現することが可能です。
さらに参照してください:
長音記号(ー)の意味とIT分野における使用法:日本語表記の重要性
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