フェージング(Fading)とは?無線通信における影響と対策

フェージングfading)は、携帯電話や無線通信において、信号の受信レベルが変動する現象を指します。

この現象は、通信品質の低下や途絶を引き起こす原因となるため、特に重要な問題です。

本記事では、フェージングの種類や原因、影響を軽減するための技術について詳しく解説します。

 

フェージングの定義と影響

フェージングとは?

フェージングは、無線通信の環境において、さまざまな要因によって電波の強度が変動する現象です。

特に、携帯電話のような移動体通信では、周囲の地形や障害物の影響を受けやすくなります。

この変動が大きいと、通信が不安定になり、通話の品質が低下することがあります。

フェージング(fading)

フェージングの種類

フェージングは、原因によっていくつかの種類に分類されます。

以下は主要な分類です。

  1. 干渉性フェージング: 地形や障害物による電波の回折や反射によって生じるもので、複数の到達経路(マルチパス)を形成します。この場合、信号の経路が異なるため、受信機の移動に伴って受信信号の強度が変化します。
  2. 偏波性フェージング: 電波の偏波状態が変化することで生じるフェージングです。これは、特定の方向に偏った電波が、受信機によって異なる強度で受信されることによります。
  3. 跳躍性フェージング: 無線通信の距離によって生じるフェージングで、通信の途中に物体がある場合に特に顕著になります。
  4. 吸収性フェージング: 環境中の物質(雨、木々など)が電波を吸収することで信号強度が低下する現象です。
  5. 選択性フェージング: 複数の周波数が異なる程度で影響を受ける場合に発生します。
  6. K形フェージング: 特定の条件下で発生する、数学的に特定されたフェージングの一種です。

 

干渉性フェージングとその対策

マルチパスフェージング

特に問題となるのが、干渉性フェージングです。

これは、地形や障害物による電波の回折や反射が原因で、複数の信号経路(マルチパス)が形成されることから発生します。

移動する無線機に対して、それぞれの経路長が異なるため、受信信号が干渉し合い、品質が低下します。

この現象をマルチパスフェージングとも呼びます。

 

ダイバーシティ技術

干渉性フェージングの影響を軽減するための技術として、ダイバーシティ(diversity)技術が挙げられます。

これは、異なる属性を持つ複数のアンテナを同時に使用し、電波状況が最も良好な信号を選択して利用する方法です。

具体的には、以下の方法が考えられます。

  • 空間ダイバーシティ: 複数のアンテナを異なる位置に配置することで、異なる信号を受信します。
  • 時間ダイバーシティ: 時間的に異なる瞬間に同じ信号を受信し、最も良好な状態の信号を選択します。
  • 周波数ダイバーシティ: 異なる周波数帯域を利用して信号を受信し、最も強い信号を選ぶ方法です。

 

まとめ

フェージングは無線通信における重要な現象であり、その影響を理解することは、通信品質を向上させるために不可欠です。

特に、干渉性フェージングは通信に多大な影響を与えるため、ダイバーシティ技術を用いた対策が有効です。

これにより、信号の品質を保ちながら、安定した通信を実現することが可能です。

さらに参照してください:

長音記号(ー)の意味とIT分野における使用法:日本語表記の重要性

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By jisho5