内部統制(Internal Control) は、企業や組織が業務の適正性を保ち、不正やミス、法令違反を防ぐために不可欠な仕組みです。
特に、現代では IT の活用が進む中で「IT統制」の重要性も増しています。
本記事では、内部統制の基本からIT統制まで、実務での適用例を交えながら詳しく解説します。
企業活動の信頼性向上やリスク管理に興味のある方は、ぜひ最後までお読みください。
内部統制とは
内部統制の定義と目的
内部統制とは、組織の目的を達成するために、経営者が整備・運用する制度や体制のことです。
不正防止や法令遵守を図り、業務の効率化と企業価値の向上を目的とします。
企業だけでなく、自治体やNPOなど非営利組織にも適用される概念です。
企業会計審議会が定める内部統制の4つの目的:
-
業務の有効性・効率性
-
財務報告の信頼性
-
法令遵守
-
資産の保全
内部統制の6つの基本要素
これらの目的を達成するため、以下の6つの基本要素が内部統制の枠組みとして定義されています。
1.統制環境
企業文化や倫理観、経営者の姿勢がベースとなります。
従業員に対する明確な責任と職務権限の設定が含まれます。
2.リスクの評価と対応
業務に潜むリスクを把握・評価し、回避や軽減のための対策を講じます。
3.統制活動
リスクに対応する具体的なルールや業務プロセス。例えば、職務分掌や承認フローの設計など。
4.情報と伝達
必要な情報が正確かつ迅速に関係者に伝達される仕組みです。
報告体制や記録保持が含まれます。
5.モニタリング
内部統制の運用状況を定期的に監視・評価し、改善につなげます。
6.ITへの対応
IT環境の整備とリスク管理も内部統制の一部であり、特に重要性が高まっています。
IT統制の重要性
IT統制とは
**IT統制(IT Control)**とは、企業の情報システムに対して実施される内部統制の一部であり、システムの信頼性や安全性を確保するための仕組みです。
現代の企業では、業務の多くがITに依存しており、IT統制はもはや必須です。
IT統制の3つの分類
-
IT全社的統制(IT Governance)
経営層によるIT戦略の立案・管理、情報セキュリティ方針の策定など、IT全体に関する方針や枠組みを整備するものです。 -
IT全般統制(General IT Controls)
システム開発、運用、アクセス管理、バックアップなど、IT環境全体の統制活動を指します。たとえば、ユーザー権限の定期的な見直しや、変更管理プロセスの整備などが含まれます。 -
IT業務処理統制(Application Controls)
販売管理システムや会計ソフトなどのアプリケーションが、正しく処理を行っているかどうかを確認するための統制です。
具体的には、入力値の検証、処理ログの監視、エラーメッセージの管理などが含まれます。
内部統制の実務活用例
実務での適用シナリオ
-
会計処理における二重チェック体制の構築
-
社内システムへのアクセス権限のロールベース管理
-
定期的な内部監査と改善指示の実施
-
ERPシステム導入時の統制チェックリスト活用
これらの例からも分かるように、内部統制の徹底は、経営リスクの回避や企業価値の維持に直結する要素です。
まとめ
内部統制は、企業活動を適正かつ効率的に運営するための基本インフラです。
特に現代のビジネスでは、IT統制を含む内部統制の整備が、業務の透明性や信頼性を支える柱となります。
-
内部統制は、業務の効率性・信頼性・法令遵守・資産保全を目的とする
-
IT統制は、システムの安全性・整合性を維持するために不可欠
-
組織規模や業種を問わず、全ての組織に必要な仕組みである
これらの知識を活かし、企業の成長とガバナンス強化に貢献しましょう。