再送制御(Retransmission Control)は、ネットワーク通信における重要な要素であり、データが送信中に失われた場合にそのデータを再送信するための手法です。
この制御は、特にTCP(Transmission Control Protocol)で広く使用されており、ネットワークの信頼性を確保するために欠かせません。
本記事では、再送制御の基本概念、その仕組み、TCPにおける役割、および具体的なアプリケーションについて詳しく解説します。
再送制御の基本概念
再送制御とは?
再送制御とは、データが経路上で失われた場合に、送信側がデータを再度送信するための通信制御の一環です。
ネットワーク上では、パケットが中継機器や回線の不具合によって失われることがありますが、再送制御によりそのデータの正確な配送が保証されます。
失われるデータの可能性
ネットワーク通信では、完全に通信不能になるわけではなく、特定のパケットだけが失われるケースもあります。このため、受信側は届いたデータに基づいて受信確認を行い、送信側は受信確認が一定時間内に届かない場合、データの再送信を行います。
TCPにおける再送制御の仕組み
TCPの基本機能
TCPは、信頼性の高いトランスポート層プロトコルとして、再送制御機能を提供しています。
TCPでは、接続を確立する際にランダムな初期値を決定し、この初期値をもとに各データセグメントに「シーケンス番号」を付与します。
シーケンス番号とACK番号
- シーケンス番号: 各セグメントには、初期値に送信済みのバイト数を加算した番号が付与されます。
- 例えば、初期値が「100」で1000バイトずつ送信する場合、最初のセグメントが「100」、次が「1100」、さらにその次が「2100」となります。
- ACK番号: 受信側は到着したセグメントのシーケンス番号に基づいて次に期待するシーケンス番号を算出し、それを「ACK番号」として送信側に返します。
再送の実行
送信側は、規定の時間内にACK番号を受け取らない場合、そのセグメントが失われたと見なし、再送信を行います。
このプロセスにより、データの確実な送信が保証されます。
順序制御の重要性
送信時に付加されるシーケンス番号は、データの通し番号と送信順序も表します。
受信側でセグメントが順不同で到着した場合でも、正しい順序に再構成することができます。
この仕組みを順序制御と呼び、通信の信頼性をさらに向上させています。
具体例と応用
例1: ウェブブラウジング
ウェブブラウジング時、HTTP通信はTCPを使用しているため、ページの要素が失われた場合でも再送制御により、ユーザーは途切れない体験を得られます。
例2: ストリーミングサービス
動画や音楽のストリーミングサービスでもTCPが使用されています。
再送制御により、映像や音声のデータが正確に届けられることで、視聴体験が向上します。
まとめ
再送制御は、ネットワーク通信における重要な技術であり、特にTCPプロトコルでの実装が広く知られています。この機能により、データの正確な配送が保証され、通信の信頼性が向上します。
再送制御の仕組みを理解することで、ネットワーク設計やアプリケーション開発において、より安全で信頼性の高いシステムを構築することが可能です。
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