切り戻し(Failback)とは?システム復旧の基本概念と実践方法

it用語辞書

**切り戻し(Failback)**は、システムの冗長化や移行作業において重要な手法であり、特に障害発生時の復旧処理やシステムの切り替えに関する概念です。

本記事では、切り戻しの基本的な定義、他の関連するプロセスとの違い、そして実際のシステムでの適用方法について詳しく解説します。

特にITシステムの運用管理やデータセンターの運営において、この手法の理解が重要です。

切り戻しの基本概念

切り戻し(Failback)の定義

切り戻しとは、システムの運用を一時的に別の系統に切り替えた後、元の系統に戻す処理を指します。

このプロセスは、冗長化システムやシステム移行時のトラブルシューティングにおいて、元の状態に復旧するための重要な手法です。

  • 定義: 切り戻しは、システムを別の系統から元の系統に戻す処理を意味します。
  • これは「切り替え」や「切り離し」の逆の作業です。

冗長化システムでの切り戻し

冗長化されたシステムでは、以下のような手順で切り戻しが行われます。

1.フェイルオーバー: 障害発生時に、稼働系を切り離して他の系統で処理を継続します。

アクティブ/アクティブ構成やアクティブ/パッシブ構成に基づいて処理が行われます。

2.修理・交換: 障害が発生した系統の修理や交換を行います。

3.切り戻し: 修理が完了した系統を元の稼働系として再度利用し、システム全体の運用を元通りにします。

  • : データセンターのサーバーが故障した場合、バックアップサーバーに切り替えて運用を続け、故障したサーバーが修理されると、再びそのサーバーを稼働系に戻すことが切り戻しです。

システム移行における切り戻し

切り戻しの必要性

システム移行やアップグレード中に重大なトラブルが発生し、新しいシステムが正常に稼働しない場合、切り戻しは重要な対応策となります。

このプロセスでは、以下のような手順が取られます。

1.移行の中止: 新しいシステムでの運用が困難になった場合、移行作業を中止します。

2.元の状態に戻す: 元のシステムに切り戻し、旧システムでの運用を再開します。

  • : 新しいERPシステムの導入中に重大なバグが発覚した場合、旧システムに戻して業務を続け、新しいシステムの問題が解決されるまで旧システムを運用します。

切り戻し(Failback)

切り戻しと関連するプロセス

切り捨て(Failover)との違い

**切り捨て(Failover)**は、システムが障害に直面したときに即座に別の稼働系に切り替えるプロセスです。

切り戻しはその後、修理が完了した元の系統に戻すプロセスです。

  • : データベースサーバーがダウンした場合、切り捨てによりバックアップサーバーに切り替え、その後切り戻しで修理されたサーバーを再稼働させます。

フォールバック(Fallback)との関係

**フォールバック(Fallback)**は、システムの期待された機能や性能が制限される状態で運用を続けることを指します。

切り戻しはフォールバックの一形態として見なされることがありますが、切り戻しは元の状態に戻すことを目的としています。

  • : 新システムの機能が期待通りでない場合、切り戻しによって旧システムでの運用に戻すことがフォールバックの一種です。

まとめ

**切り戻し(Failback)**は、システムの冗長化や移行作業において、障害発生時の復旧処理やシステムの切り替えを元の状態に戻す重要な手法です。

冗長化システムやシステム移行において切り戻しを理解し、適切に実施することが、システムの安定運用とトラブルシューティングに不可欠です。

切り戻しの理解と実践は、ITシステムの管理者や運用担当者にとって必須のスキルです。

 

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