直接アドレス指定(direct addressing)は、CPUが命令を実行する際にデータの所在を指定する重要なアドレス指定方式です。
この方式は、命令のアドレス部に記載された値をそのままメモリの位置として解釈するため、シンプルで理解しやすいものとなっています。
本記事では、直接アドレス指定の基本的な概念、特徴、利用例、そしてその限界について詳しく解説します。
直接アドレス指定の基本概念
1. 直接アドレス指定とは
直接アドレス指定は、命令内に含まれる数値を実際のメモリアドレスとして扱います。
つまり、命令のオペランド部(アドレス部)に記載された値が、そのままデータのメモリ上の位置を示すというものです。
この方式は、次のように定義されます。
命令=オペレーション+アドレス部\text{命令} = \text{オペレーション} + \text{アドレス部}命令=オペレーション+アドレス部この場合、アドレス部には具体的なメモリ位置が記載されており、CPUはその位置からデータを読み取ります。
2. メモリアドレスの指定方法
直接アドレス指定では、CPUが実行する命令列の中で、特定のメモリ位置の内容を読み込む必要があります。
命令は機械語で記述されており、アドレス部に指定された数値がデータの存在するメモリアドレスと見なされます。
この方式は、プログラムのメモリ上の配置が固定されている必要があり、データの取得が非常に直感的です。
直接アドレス指定の利点と欠点
1. 利点
- シンプルな実装: 直接アドレス指定は最も基本的なアドレス指定方式であり、設計と実装が容易です。
- 高速なアクセス: メモリアドレスが固定されているため、データへのアクセスが迅速です。
2. 欠点
- 固定的なメモリ配置: プログラムのメモリ上での配置が固定されているため、柔軟性に欠けます。
プログラムの実行時にメモリの位置が変更されると、直接アドレス指定が機能しなくなります。
- 再利用性の低さ: 固定的なアドレス指定により、同じプログラムを異なる環境で再利用することが難しくなります。
直接アドレス指定の実際の利用例
1. 簡単なプログラム
直接アドレス指定は、非常に単純なプログラムで利用されることが多いです。
例えば、特定のデータを読み込む命令を持つプログラムでは、次のように指定されます。
LOAD A, 1000
この命令は、メモリのアドレス1000からデータをロードし、レジスタAに格納します。
2. 現実の適用場面
実際のコンピュータシステムでは、直接アドレス指定はあまり多く使用されませんが、教育目的やシミュレーション環境では、その単純さから学習ツールとして役立つことがあります。
まとめ
直接アドレス指定(absolute addressing)は、データの所在を簡単に指定するための基本的なアプローチですが、固定的なメモリ配置や再利用性の低さといった限界があります。
これらの特性を理解することで、プログラムの設計やメモリアーキテクチャについての洞察を深めることができます。
この記事を通じて、直接アドレス指定の重要性を再確認し、他のアドレス指定方式との比較を行うきっかけになれば幸いです。