自律システム(AS: Autonomous System)は、インターネットの構成要素として非常に重要な役割を果たしています。
本記事では、自律システムの定義、機能、構成要素、そしてルーティングプロトコルについて詳しく解説します。自律システムの理解は、ネットワーク技術を学ぶ上で欠かせない知識です。
自律システム(AS)の概要
1. 自律システムとは?
自律システムは、特定の管理主体によって所有され、運用されている独立したネットワークのことを指します。
これらのネットワークは、単一の経路制御ポリシーを共有しており、外部からは一つの塊として認識されます。
インターネットは「ネットワークのネットワーク」と呼ばれるように、異なる管理主体が運用する通信ネットワークが相互接続されて成り立っています。
2. 自律システムの重要性
ASは、通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)、企業などの個々のネットワークをまとめて管理するための基本単位です。
このため、ASが正しく運用されることは、インターネット全体の効率的な通信に不可欠です。
自律システムの識別
1. AS番号の役割
各自律システムには固有の識別番号であるAS番号が割り当てられます。
この番号は、経路選択の際にネットワークを識別し、指定するために使用されます。
AS番号は16ビット(2バイト)または32ビット(4バイト)の形式で提供され、重複を避けるためにIANA(Internet Assigned Numbers Authority)が管理しています。
2. AS番号の配布
AS番号は、各地域のRIR(Regional Internet Registry)を通じて、各国のNIC(Network Information Center)に配布されます。
日本においては、JPNICがこの役割を果たしています。NICから各組織へとAS番号が割り当てられることで、インターネットの整合性が保たれています。
自律システム内のルーティング
1. 経路制御の分離
インターネット上でのパケットの経路制御は、AS間とAS内で異なるルーティングプロトコルを使用します。
AS間の経路制御にはBGP(Border Gateway Protocol)が用いられ、これはインターネット上で最も一般的なルーティングプロトコルです。
2. AS内のルーティング
一方、AS内のルーティングはその運用組織によって決められ、OSPF(Open Shortest Path First)やRIP(Routing Information Protocol)など、さまざまなIGP(Interior Gateway Protocol)が利用されます。
これにより、内部での効率的なデータ転送が実現されます。
自律システムの応用例
- ISP:多くのインターネットサービスプロバイダが自律システムとして運用され、ユーザーに安定した接続を提供しています。
- 企業ネットワーク:大規模な企業も、自社のネットワークを自律システムとして管理し、内部のデータ通信を最適化しています。
まとめ
自律システム(AS)は、インターネットの運用において非常に重要な役割を担っています。
ASの理解は、ネットワーク技術を深く学ぶために不可欠であり、これによりインターネットの構造と運営がどのように成り立っているかを把握できます。
自律システムの効果的な運用は、通信の効率性と安定性に大きく寄与しています。
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