辞書攻撃(dictionary attack)は、パスワードの割り出しや不明な文字列の推測を効率的に行う手法の一つです。
本記事では、辞書攻撃の基本概念、実施方法、リスク、そして対策について詳しく解説します。
この手法を理解することで、セキュリティ対策を強化し、安全なシステム運用に役立てることができます。
辞書攻撃とは?
1. 基本概念
辞書攻撃とは、辞書や人名録などの意味のある単語のリストを用いて、パスワードを効率的に推測する手法です。この手法では、利用者認証の際に辞書に掲載されている単語やフレーズを片端から入力し、認証を突破できるか試みます。
2. 候補リストの生成
辞書攻撃では、語学辞書の見出し語から候補リストを作成するほか、地名、人名、社名、製品名などの固有名詞を抽出してリストに追加することがあります。
これにより、より多様な組み合わせでパスワードを試行することが可能になります。
辞書攻撃の手法
1. 意味のある単語の利用
人間は完全にランダムな文字列を覚えにくいため、何らかの意味のある単語を使用する傾向があります。
この心理を利用することで、効率的に探索を進めることができます。
2. 自動生成とバリエーション
試行回数を増やし、より確実性を高めるために、同じ単語の大文字と小文字の組み合わせ、綴りを逆さにした文字列、先頭や末尾に数字や記号を加えたものなどを自動生成して追加する場合もあります。
辞書攻撃に対する対策
1. 無意味なランダム文字列
パスワードをまったく無意味でランダムな文字の並びにすることが効果的です。
これにより、辞書攻撃の成功率を大幅に低下させることができます。
2. 認証試行回数の制限
認証の試行回数に制限を設ける(例えば、一定回数の連続失敗でアカウントをロックするなど)ことで、攻撃者が大量のパターンを自動的に試行できないようにする手法もよく知られています。
暗号文やハッシュ値への辞書攻撃
1. 暗号化とハッシュ化
辞書攻撃は、暗号やハッシュ関数の解読手法としても利用されます。
辞書にある単語や無作為に集めた平文を暗号化またはハッシュ化し、目的の暗号文やハッシュ値と突き合わせて一致するかどうかを調べます。
2. ソルトの利用
対策として、平文に毎回変化する無意味なデータ(ソルトと呼ばれる)を連結してから暗号化やハッシュ化を行う手法があります。
これにより、同じ平文であっても異なる結果が得られるため、辞書攻撃の効果が低下します。
まとめ
辞書攻撃は、効率的なパスワード推測手法として広く知られていますが、そのリスクに対する理解と対策が求められます。
無意味なランダム文字列を用いることや、認証試行回数の制限を設けることで、セキュリティを強化することが可能です。
また、暗号化やハッシュ化においても、ソルトの利用が重要です。
これらの知識を活用して、より安全なシステム運用を目指しましょう。
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