階層型データベース(hierarchical database)は、データを階層的な木構造で整理するデータベースの一形態です。これは、データが単一のルートノードから枝分かれする構造を持ち、親子関係で管理されます。
本記事では、階層型データベースの基本概念、メリットとデメリット、そしてリレーショナルデータベースとの違いについて詳しく解説します。
階層型データベースの基本概念
階層型データベースの構造
階層型データベースは、データを階層的な木構造に整理して格納します。
以下のような構造が基本です:
- ルートノード:データベースの起点となるノードで、すべてのデータの親ノードです。
- 子ノード:ルートノードから枝分かれし、さらに複数の子ノードを持つことができます。
- 親ノード:各ノードには一つの親ノードがあり、親をたどることでルートノードに到達します。
この構造により、特定のノードを指定してデータを迅速に読み書きすることが可能です。
階層型データベースの特徴
- データの高速なアクセス:ノードに直接アクセスできるため、データの読み書きが迅速に行えます。
- 効率的な記憶領域の使用:データが階層的に整理されるため、記憶領域の利用効率が高いです。
階層型データベースのメリット
高速なデータアクセス
階層型データベースは、ノードの親子関係に基づいてデータが整理されているため、特定のノードに対するデータアクセスが非常に高速です。
これにより、大規模なデータベースでも迅速なデータ処理が可能です。
記憶領域の効率的な利用
データが階層的に格納されることで、記憶領域の使用が効率的になります。
例えば、同じ親ノードを持つデータが連続して格納されるため、ディスクI/Oの効率が向上します。
階層型データベースのデメリット
柔軟性の欠如
階層型データベースは、子ノードが複数の親ノードを持つことができないため、データの柔軟な管理が難しいです。
この制約により、複雑なデータモデルを扱うのが困難になります。
条件によるデータの絞り込みが困難
全体のデータから条件を指定してノードを絞り込む操作が苦手です。
階層型データベースでは、標準的な方法がないため、アプリケーションによってデータの絞り込み方法が異なることがあります。
階層型データベースの代表例
IBM IMS
IBM IMS(Information Management System)は、階層型データベースの代表的なシステムです。
IBMのメインフレーム向けに開発され、長い歴史を持つデータ管理システムです。
SNMPのMIB
SNMP(Simple Network Management Protocol)で使用されるMIB(Management Information Base)も一種の階層型データベースです。
MIBは、ネットワーク機器の管理情報を階層的に整理するために使用されます。
まとめ
階層型データベースは、データを階層的な木構造で管理する古典的なデータベースシステムです。
特定のノードに対する迅速なアクセスや記憶領域の効率的な利用が可能ですが、柔軟性に欠ける点もあります。
リレーショナルデータベースの登場により、多くの場面で階層型データベースからの移行が進んでいますが、特定の用途や歴史的なシステムでは依然として重要な役割を果たしています。
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