【ピクチャーインピクチャーとは?】マルチタスク時代の必須機能をIT視点で解説

IT辞書

ピクチャーインピクチャー(Picture-in-Picture、略称:PiPまたはPinP)は、1つの画面上に小さな別ウィンドウを表示し、メインコンテンツと同時に別の映像や情報を表示する技術です。

スマートフォンの動画視聴中の操作や、テレビの裏番組の確認など、マルチタスク操作において非常に重要な役割を担っています。

本記事では、ピクチャーインピクチャーの仕組みや用途、Web・モバイル・テレビ分野での応用例をIT視点で詳しく解説します。

ピクチャーインピクチャー(PiP)の基本概念

ピクチャーインピクチャーとは何か?

ピクチャーインピクチャーは、1つのディスプレイ上に複数のコンテンツを同時に視覚的に表示するためのUI手法です。

主に動画やライブ配信などの映像コンテンツを、小さなオーバーレイウィンドウとして表示し、ユーザーが他の操作をしている間も再生を続けられるようにします。

この機能は単なるマルチウィンドウ表示とは異なり、常に前面に表示される固定レイヤーとして実装される点が特徴です。

モバイル端末におけるPiPの役割

AndroidやiOSでの実装と活用

Androidの場合

AndroidではAPI 26(Android 8.0 Oreo)以降で正式にPiPモードがサポートされており、以下のような用途で活用されています:

  • YouTubeやNetflixのバックグラウンド再生

  • ビデオ通話アプリ(Google Meet、Zoomなど)

  • カレンダーやメモを見ながらの映像確認

AndroidではPictureInPictureParamsを用いて画面サイズやアスペクト比を制御可能です。

iOSの場合

iOSではiPadOS 13以降、およびiOS 14以降のiPhoneで対応。

Safari経由での動画再生や、FaceTime通話などが小ウィンドウで継続表示されることでUXが向上しています。

WebアプリケーションにおけるPiPの活用

HTMLとJavaScriptによるPiP実装

WebではHTML5のVideo要素を使用してPiPを実装可能です。

ブラウザによっては標準でPiPをサポートしており、以下のようなJavaScriptコードで簡単に制御できます:

この機能は、YouTube、Twitch、SNSプラットフォーム(例:Twitterの動画)などでも広く利用されています。

SPAやページ遷移時の再生保持

SPA(Single Page Application)や動的Webサイトにおいても、PiPを使えばページ遷移の影響を受けず動画を継続再生できます。

UX向上だけでなく、ユーザーの滞在時間向上にも寄与します。

テレビ放送におけるPiPの歴史と進化

デジタルテレビのPiP機能

テレビでは古くから「裏番組を確認する機能」としてピクチャーインピクチャーが使われてきました。

代表的な利用方法は以下の通りです:

  • メイン画面:映画やドラマの本編

  • サブウィンドウ:スポーツ中継の別チャンネル確認

パソコンやテレビチューナーとの連携

最近では、テレビチューナー搭載PCでもPiP機能が搭載されており、作業中に小画面でテレビを視聴することができます。

これはデジタル放送のマルチチャンネル受信とGUIの進化によって可能となったものです。

PiPと類似概念:「ワイプ」との違い

ワイプ(wipe)」は、テレビ番組の演出技法であり、リアクション映像などを本編に重ねて表示するものです。

  • PiP:機能的なUI表示、ユーザー操作可能

  • ワイプ:編集済み映像、視聴者操作不可

このように、ピクチャーインピクチャーはインタラクティブでユーザー中心であるのに対し、ワイプは演出中心の表示である点に明確な違いがあります。

PiPのIT分野における応用と将来性

マルチタスクUXの要としてのPiP

PiPは、ユーザーが複数のタスクを同時に行う現代のUX要件に対応するために不可欠な要素です。

特に以下のシーンで有効です:

  • 動画学習中にメモアプリを開く

  • 顔認証中に別アプリを立ち上げる

  • チャットしながら映像資料を再生

今後の展望

今後は以下の分野での応用が期待されます:

  • AR/VR環境でのPiP対応

  • マルチディスプレイUIの標準化

  • Web会議ツールとの高度連携

将来的にはPiPが「仮想空間の中のマルチウィンドウ」のような役割を果たす可能性もあります。

まとめ

この記事では、ピクチャーインピクチャー(Picture-in-Picture, PiP)について以下の点を解説しました:

  • PiPは映像を小ウィンドウで常時表示可能にするマルチタスク支援機能

  • スマホ、Web、テレビ、PCなど多様なIT環境で利用されている

  • UX向上、作業効率の維持、視聴継続など、ユーザー体験に直結する技術

  • 類似概念の「ワイプ」との違いも明確に把握することが重要

現代のIT環境において、ピクチャーインピクチャーはもはや必須の技術となりつつあります。

Web開発者、アプリ設計者、UI/UXデザイナーは、ユーザーのマルチタスク行動に対応するため、PiPを積極的に導入・最適化することが求められます。

さらに参考してください:

【ppiとは?】ディスプレイ解像度を決める重要指標「ピクセル毎インチ」を徹底解説

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