NOT NULL制約(NOT NULL constraint)は、リレーショナルデータベース(RDB)を設計・運用する上で、最も基本的かつ重要な制約の一つです。
この制約を正しく理解し活用することで、データの整合性と品質を高いレベルで保証することが可能となり、堅牢なシステム開発に貢献します。
この記事では、NOT NULL制約の意味や役割、IT現場での実用的な使い方、他の制約との違いや組み合わせ方法まで、実務に直結する視点から詳しく解説します。
NOT NULL制約とは?
基本定義と目的
NOT NULL制約とは、RDBのテーブル定義において特定のカラム(列)に対して「必ず値が入力されていなければならない」というルールを課す制約です。
この例では、name
カラムにNULL値を許さないことが明示されており、データベース管理システム(DBMS)がこれを強制的に保証します。
NULLとの違いを明確に理解
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NULL:未定義・不明な値(「空文字」や「0」とは異なる)
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NOT NULL:その列には必ず何らかの具体的な値が必要
これにより、業務ロジックにおける前提条件をデータベースレベルで確保することができます。
NOT NULL制約が持つ3つのメリット
1. データ整合性の確保
例えば、会員登録における「氏名」や「メールアドレス」など、絶対に必要な情報に対してNOT NULL制約を設定することで、欠損データを防止できます。
2. アプリケーション設計の簡略化
NOT NULLが保証されていれば、NULLチェックをコード内で繰り返す必要がなくなるため、ロジックが簡潔になります。
3. パフォーマンスと最適化への影響
DBMSによっては、インデックスや内部最適化処理においてNULLの扱いが異なるため、NOT NULL制約があると効率的な実行計画が選ばれやすくなるケースもあります。
他の制約との関係と組み合わせ方
主キー制約(PRIMARY KEY)との関係
PRIMARY KEY = 一意性制約(UNIQUE)+ NOT NULLという構成になっています。
そのため、主キーに対しては明示的にNOT NULLを指定しなくても暗黙的に適用されます。