キャプティブ価格戦略(captive product pricing)は、主製品とその付随製品の価格設定を巧みに利用して収益を最大化するための戦略です。
この戦略では、主製品の価格を低く設定し、専用の付随製品の販売によって利益を得ることを目指します。
本記事では、キャプティブ価格戦略の基本概念から具体的な成功事例、そしてこの戦略を効果的に実装するための方法について詳しく解説します。
キャプティブ価格戦略とは
キャプティブ価格戦略の基本概念
キャプティブ価格戦略は、製品の価格戦略の一つで、主製品(コア製品)とその付随製品(消耗品や専用アクセサリー)を組み合わせて収益を上げる方法です。
この戦略では以下のようなアプローチが取られます:
- 主製品の低価格設定: 主製品を原価以下または非常に低い価格で提供し、市場での競争力を高めます。
- 付随製品の高価格設定: 主製品に必要な付随製品や消耗品を高価格で提供し、安定した収益源を確保します。
この戦略の目的は、顧客が主製品を選ぶことで付随製品の販売を促進し、長期的に安定した収益を得ることです。
キャプティブ価格戦略の仕組み
キャプティブ製品(captive product)とは、主製品を使用するために必ず購入しなければならない付随製品です。この付随製品の価格を高く設定することで、主製品のコストを回収し、利益を確保します。
例
- プリンタとインクカートリッジ: プリンタ本体は低価格で販売し、専用のインクカートリッジを高価格で提供します。
- コピー機とトナーカートリッジ: コピー機を安価に販売し、トナーカートリッジを定期的に購入させる形で収益を得ます。
- 家庭用ゲーム機とゲームソフト: ゲーム機本体は低価格で販売し、ゲームソフトを高価格で販売します。
キャプティブ価格戦略の成功事例
プリンタとインクカートリッジ
プリンタ市場での成功事例として、HPやCanonなどのメーカーが挙げられます。
プリンタ本体を低価格で販売し、インクカートリッジの交換が必須となるため、長期間にわたって収益を上げ続けるモデルです。
家庭用ゲーム機とゲームソフト
SonyやNintendoのゲーム機も、キャプティブ価格戦略の代表的な例です。
ゲーム機本体を安価に提供し、専用のゲームソフトを高価格で販売することで利益を上げています。
カプセル式コーヒーメーカーと専用ポッド
NespressoやKeurigなどのカプセル式コーヒーメーカーは、コーヒーメーカー本体を安価に販売し、専用のカプセルやポッドを高価格で販売しています。
これにより、長期的な顧客ロイヤルティと安定した収益を確保しています。
キャプティブ価格戦略の実装方法
市場調査とターゲティング
- 市場ニーズの把握: 主製品と付随製品の需要を理解し、どのような付随製品が最も利益を上げられるかを調査します。
- ターゲット顧客の特定: 主製品と付随製品のセットを最も利用する顧客層を特定し、戦略的にアプローチします。
価格設定とマーケティング
- 主製品の価格設定: 主製品の価格を競争力のある価格に設定し、顧客の関心を引きます。
- 付随製品の価格設定: 付随製品の価格を高く設定し、付随製品の購入を促進するプロモーション活動を行います。
顧客ロイヤルティの構築
- 定期購入プラン: 付随製品の定期購入プランを提供し、顧客の継続的な購入を促します。
- 品質とサポート: 主製品と付随製品の品質を維持し、顧客サポートを充実させることで、顧客の信頼を得ます。
まとめ
キャプティブ価格戦略は、主製品と付随製品の価格設定を巧みに利用することで、安定した収益を確保するための有効な戦略です。
プリンタとインクカートリッジ、家庭用ゲーム機とゲームソフト、カプセル式コーヒーメーカーと専用ポッドなど、さまざまな成功事例が示すように、この戦略を適切に実施することで市場での競争力を高めることができます。
市場調査とターゲティング、適切な価格設定とマーケティング、そして顧客ロイヤルティの構築が、この戦略の成功に不可欠です。
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