時刻認証(タイムスタンプ)は、電子文書が特定の時点で存在し、その後に内容が改変されていないことを第三者が保証する仕組みです。
これにより、電子文書の証拠性が大幅に向上し、契約書や証書の電子化を促進します。
本記事では、タイムスタンプの基本概念、動作原理、利用方法、そして電子署名方式とアーカイビング方式の違いについて詳しく解説します。
タイムスタンプの基本概念
タイムスタンプとは
タイムスタンプは、特定の日時において電子文書が存在したことを証明するためのデジタル記録です。
これにより、文書がその後改ざんされていないことが確認できます。
タイムスタンプを用いることで、電子データの信頼性が高まり、法的な証拠としての役割を果たすことができます。
なぜタイムスタンプが必要なのか
コンピュータ上で表現された文書は、複製や編集が容易であるため、紙の書籍に比べて証拠性が低いと見なされています。
タイムスタンプを利用することで、文書の真正性を第三者によって証明することが可能となり、電子契約の普及や電子文書の保管における課題を解決します。
タイムスタンプの仕組み
時刻認証局(TSA)
タイムスタンプは、TSA(Time Stamping Authority:時刻認証局)と呼ばれる事業者が提供するサービスを利用して作成されます。
文書の所有者が申請した日時に、文書が確かに存在し、その内容が変更されていないことを証明するために、時刻情報とハッシュ値が利用されます。
タイムスタンプの生成プロセス
1.文書のハッシュ化:
まず、タイムスタンプを取得する文書のデジタルハッシュ値が生成されます。
2 タイムスタンプトークンの作成:
TSAは、文書データのハッシュ値と現在の時刻を含む「タイムスタンプトークン」を作成します。
このトークンは、TSAのデジタル証明書(公開鍵証明書)で署名され、申請者に提供されます。
3.保管と検証:
トークンは申請者が保管し、証明が必要なときには、TSAの証明書を用いていつでも検証が可能です。
タイムスタンプの利用方式
電子署名方式
この方式は、デジタル署名を応用したものであり、次の特徴があります:
- TSAが作成したトークンは申請者が保管し、証明が必要なときに検証することができます。
- TSAが関与しないため、公開された文書の証明に適しています。
- ただし、デジタル証明書には有効期限があるため、長期保管には向いていません。
アーカイビング方式
もう一つの方式であるアーカイビング方式では、以下のプロセスが行われます:
- タイムスタンプトークンは申請者とTSAの両者が保管します。
- 証明が必要なときにはTSAに問い合わせを行い、申請者側にあるトークンと内容が一致することを証明してもらいます。
- TSAに保管されたデータの真正性は誰も検証できませんが、一定期間ごとに全保管データから算出したハッシュ値を公開している事業者もあります。
まとめ
時刻認証(タイムスタンプ)は、電子文書の真正性を保証するための重要な技術です。
TSAを通じて提供されるタイムスタンプサービスにより、電子契約や書類の証拠性が向上し、デジタル時代における情報管理の信頼性が確保されます。
電子署名方式とアーカイビング方式の違いを理解することで、適切な方法を選択し、安心して電子文書を利用することが可能になります。