ダークネット(darknet)は、インターネット上で使われていないはずのIPアドレス群を指します。
この領域は本来アクセスされることがないにもかかわらず、実際には不正アクセスやウイルス活動が観測されています。
本記事では、ダークネットの仕組みやセキュリティ上のリスク、そしてダークウェブとの違いについて詳しく解説します。
ダークネットとは?
ダークネットの基本的な仕組み
ダークネットは、インターネット上で割り当てられていない未使用のIPアドレスの集合体です。
通常、これらのアドレスにはパケットの送受信が行われることはありませんが、現実には多くの通信が観測されています。
これにはコンピュータウイルスによるランダムなアドレススキャンや、DDoS攻撃に関連するパケットが含まれることが多いです。
ダークネットを活用したセキュリティ対策
各国の政府機関や通信事業者などが協力して、ダークネットを観測するプロジェクトがいくつも実施されています。
これにより、不正なアクセスやサイバー攻撃の兆候を早期に検知し、対策を講じることが可能です。
例えば、ダークネットに向けて送信されたパケットを分析することで、新たなマルウェアの活動を発見したり、攻撃者の手口を追跡したりすることができます。
ダークネットとダークウェブの違い
ダークウェブとは?
ダークウェブ(dark web)は、特殊なソフトウェアや技術を用いないとアクセスできないインターネットの隠れた部分です。
一般的に、Torなどの匿名化技術を利用して通信を暗号化し、送信元や宛先の秘匿を行っています。
ダークウェブは非合法な活動の温床とされることが多く、薬物や個人情報の取引、ハッキングツールの販売などが行われることがあります。
混同されやすい理由
ダークネットとダークウェブは名前が似ているため混同されがちですが、その性質は大きく異なります。
ダークネットは主にセキュリティ監視のために利用される未使用のアドレス空間を指し、ダークウェブは匿名化技術を用いてアクセス制限がかけられたネットワークを指します。
ダークネットのセキュリティリスク
ウイルス活動の検知
ウイルス感染したコンピュータが新たな感染先を探す際、ランダムに生成したIPアドレスに通信を試みることがあります。
このとき、未使用のダークネットアドレスに対してもパケットが送信されるため、ダークネットの監視を通じてウイルス活動の兆候を検知することが可能です。
DDoS攻撃における役割
DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)では、送信元を存在しないアドレスに詐称することで、攻撃対象からの応答パケットがダークネットに向けて送信されることがあります。こ
の手法を利用することで攻撃者は身元を隠し、追跡を困難にします。
ダークネット観測の実際の例
成功事例:新たな脅威の早期発見
あるセキュリティ企業では、ダークネットの監視を通じて新たなマルウェアの活動を早期に発見しました。
これにより、対策ソフトのアップデートが迅速に行われ、多くのユーザーが被害を防ぐことができました。
失敗事例:攻撃者の隠れ蓑
一部の攻撃者は、ダークネットを利用して自身の活動を隠蔽するために巧妙な手段を取ることがあります。
これにより、観測だけでは完全に攻撃を防ぐことができず、他のセキュリティ対策との組み合わせが求められます。
まとめ
ダークネットは、セキュリティの監視と対策において重要な役割を果たしていますが、その高い匿名性は攻撃者にも利用される可能性があります。
ダークウェブとの違いを理解し、適切なサイバーセキュリティ対策を講じることが必要です。
また、ダークネットを活用した早期警戒システムを整えることで、新たなサイバー脅威に対しても迅速に対応できるようになります。