データリンク層は、ネットワーク通信の基盤を支える重要な層です。
この層は、物理的に接続されたデバイス間でのデータの受け渡しを担当しており、OSI参照モデルでは第2層に位置しています。
本記事では、データリンク層の機能やプロトコル、OSIモデルとの関係について詳しく解説します。
データリンク層の概要
データリンク層とは
データリンク層(Data Link Layer)は、データ通信のプロトコルを定義する階層の一つです。
OSIモデルにおける第2層であり、TCP/IPモデルでは最下層に位置します。
主な役割は、物理的に接続されたデバイス間でのデータの確実な伝送です。
ここでは、データの送受信の過程で発生するさまざまな問題を管理します。
データ伝送の手順
データリンク層は、以下の機能を提供します。
1.通信相手の識別
デバイス間でのデータ通信を行う際、相手を特定する必要があります。
これにはMACアドレスが利用されます。
2.衝突検知と回避
ネットワーク上で同時にデータを送信する場合、信号が衝突することがあります。
この層では、その衝突を検知し、適切に対処します。
3.フレームの分割と組み立て
送信するデータはフレームという単位に分割され、送受信されます。
データリンク層では、このフレームの生成と解析を行います。
4.誤り検知と訂正
データが送信中に損なわれた場合、データリンク層はその誤りを検出し、必要に応じて訂正を行います。
データリンク層のプロトコル
主なプロトコルの例
データリンク層では、さまざまなプロトコルや通信規格が使用されます。
代表的なものには以下があります。
- イーサネット(Ethernet): 有線LANの標準であり、IEEE 802.3シリーズとして規定されています。
- Wi-Fi: 無線LANの標準であり、IEEE 802.11シリーズに準拠しています。
- PPP(Point-to-Point Protocol): 二地点間の通信を実現するためのプロトコルで、ATMやフレームリレーなども含まれます。
OSIモデルとTCP/IPモデルの違い
OSIモデルでは、データリンク層は物理層の上に位置し「第2層」と呼ばれます。
一方、TCP/IPモデルではリンク層が最下層にあり、物理層に関する情報は含まれません。
これにより、データリンク層の位置付けや機能に対する理解が異なる場合があります。
MAC副層とLLC副層
IEEE 802規格における区分
IEEE 802規格では、データリンク層をMAC副層(Media Access Control)とLLC副層(Logical Link Control)に分けています。
MAC副層は、物理層における通信方式や媒体に応じた最適な管理を行います。
LLC副層は、ネットワーク層からの一貫したアクセスを提供し、異なる通信方式の違いを吸収します。
まとめ
データリンク層は、ネットワーク通信の中核を担う重要な役割を果たしています。
この層では、データの送受信や誤り訂正など、多岐にわたる機能が求められます。
イーサネットやWi-Fiなどのプロトコルは、データリンク層の具体例として非常に重要です。
理解を深めることで、ネットワークの設計や運用において、より効果的なアプローチを取ることができるでしょう。