ネットワークループとは?原因と対策を徹底解説【Switching Loop/L2ループ/物理ループ】

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ネットワークループ(switching loop)は、企業や学校のLAN環境において通信障害を引き起こす重大なトラブルの一つです。

本記事では、ネットワークループの仕組み、原因、実際に起きた際の影響、そして効果的な対策方法について詳しく解説します。

ネットワーク構築や保守に関わるエンジニアにとって、避けては通れない知識です。

ネットワークループとは?

ネットワークループの基本構造

ネットワークループとは、LAN内でスイッチ同士が環状(ループ)状に接続されてしまっている状態のことを指します。

この状態では、フレームが終わりなくネットワーク内を循環し、通信ができない障害(ブロードキャストストーム)を引き起こします。

具体的な例

以下のようなケースが典型的なループの原因となります。

  • 1台のスイッチの2つのポートを直接ケーブルで接続した場合

  • 2台のスイッチを2本のケーブルでクロス接続した場合

これにより、送信されたフレームが永遠にループし続け、ネットワーク帯域を占有します。

ネットワークループが引き起こす問題

1. 通信不可

ネットワークループが発生すると、正常な通信が不可能になります。

これは、フレームが高速でネットワーク内を循環することで帯域が埋め尽くされるためです。

2. 機器の過負荷

ループが続くことで、スイッチやルーターがフレーム処理に追われ、CPU負荷が高まり、最悪の場合フリーズやシャットダウンに至ります。

3. 他のトラブルとの連鎖

DNSやDHCPといった基本的なサービスも影響を受け、ネットワーク全体が麻痺することもあります。

ネットワークループの対策

スパニングツリープロトコル(STP)の活用

ループを防ぐ最も一般的な技術がスパニングツリープロトコル(STP:Spanning Tree Protocol)です。

STPは以下のように機能します。

  • ネットワーク内の冗長な経路を自動的に検出

  • 一部のポートをブロックし、論理的に木構造(ツリー構造)に変換

  • ループの発生を防ぎつつ、障害時には自動的に迂回路を提供

特に3台以上のスイッチで構成される網状ネットワークでは、STPの導入が不可欠です。

ループ検出機能のあるスイッチの利用

最近のスイッチには、ループの自動検知・遮断機能が搭載されているものがあります。

このようなスイッチを導入することで、誤接続による障害を未然に防ぐことができます。

配線ミスの防止

物理的なループの多くは人為的な配線ミスによって起こります。

設計段階で以下を徹底しましょう:

  • トポロジーの可視化

  • 作業前後の配線チェック

  • 二重接続を避けるルールの徹底

論理ループとの違い:ルーティングループ

ネットワークループという言葉は、物理的なループだけでなく、ルーティングループ(routing loop)を指すこともあります。

ルーティングループとは、IPレベルで同じパケットがルーター間を行き来し続ける状態です。

  • ネットワークループ(物理層/L2):スイッチ間の配線ミスが原因

  • ルーティングループ(論理層/L3):ルーティング設定ミスや障害によって発生

どちらも通信トラブルの原因となるため、それぞれの対策が求められます。

まとめ

ネットワークループは、LANにおける重大な通信障害の原因となります。

そのため、以下のポイントを意識して設計・運用を行うことが重要です:

  • スイッチの物理接続に注意し、ループを作らない

  • STPなどのループ防止技術を活用する

  • トラブル時のためにループ検出機能付きスイッチを導入する

ITインフラの健全な運用には、ネットワークループの防止と対処法の理解が欠かせません。

ぜひこの記事を参考に、より堅牢なネットワーク設計を実現してください。

さらに参考してください:

ネットワークライセンスとは?フローティングライセンスの仕組みと導入メリットを徹底解説

 

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