ハブ(hub)は、ITインフラの設計やネットワーク構築、周辺機器の接続、システム間のデータ連携において欠かせない中継装置・集線装置です。
本記事では、IT分野におけるハブの定義・役割・種類(ネットワークハブ・USBハブ・データハブ)を詳しく解説し、それぞれの使用例や技術的特徴について掘り下げていきます。
ハブとは何か?
ハブの基本定義
ハブ(hub)とは、もともと「中心」「結節点」を意味する言葉であり、複数の機器やシステムを中心でつなぐ中継装置として機能します。
ITの分野では、特に次の3つの文脈で使用されることが一般的です:
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ネットワークハブ(イーサネットハブ・スイッチングハブ)
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USBハブ
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データハブ(システム連携・情報統合の基盤)
以下、それぞれのタイプについて詳しく見ていきましょう。
ネットワークハブとは
イーサネット通信を中継する装置
ネットワークハブは、有線LAN(ローカルエリアネットワーク)において、複数のコンピュータやネットワーク機器を物理的に接続するための中継装置です。
イーサネット(Ethernet)通信では、スター型トポロジーを構成する中心装置として用いられます。
ポート構成と信号伝送
ネットワークハブは、以下のようなインターフェースを備えています:
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RJ45ポート(UTPケーブル用)
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光ファイバーポート(高速通信・長距離接続用)
接続された任意のポートから受信したデータ信号は、他のすべてのポートに再送信され、他の機器へ伝送されます。
ハブの種類
リピータハブ(repeater hub)
受信した信号をそのまま全ポートにブロードキャストするシンプルなタイプ。
衝突(コリジョン)も発生しやすく、現在ではあまり使用されていません。
スイッチングハブ(switching hub)
宛先のMACアドレスを解析し、適切なポートだけにデータを転送するインテリジェントなハブ。
衝突が起こりにくく、高速で安定した通信が可能なため、現在の主流となっています。
💡 現在では「ネットワークスイッチ」や「イーサネットスイッチ」と呼ばれることが多い。
USBハブとは
複数のUSBデバイスを一括接続する集線装置
USBハブは、コンピュータの限られたUSBポートに対し、複数のUSB周辺機器を接続するための中継デバイスです。
利用シーンと構成
USBハブは以下のような構成で使用されます:
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入力側:コンピュータと接続する1つのUSBケーブル
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出力側:複数のUSBポート(通常は4〜10ポート)
キーボード、マウス、プリンター、ストレージデバイスなど、多種多様なデバイスを同時に接続可能です。
液晶モニターやドッキングステーションに内蔵されたUSBハブも増えています。
⚠️ 注意:バスパワー型とセルフパワー型があり、接続する機器の電力消費に応じた選択が必要です。
データハブとは
システム連携の要となるミドルウェア
データハブは、異なるシステム間でやり取りされるデータの中継・統合を行うソリューションです。
特に以下のような用途で活用されます:
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異なる業務システム間のデータ連携
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SaaS・オンプレミス間の統合
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API管理・メッセージングの中継基盤
技術的背景と構成要素
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SOA(サービス指向アーキテクチャ)やESB(Enterprise Service Bus)などの設計に基づく
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データを一元的に保管・検証し、送信先のシステムに最適な形式で再配信する機能を持つ
代表的なデータハブツール例
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MuleSoft
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IBM App Connect
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Informatica Cloud Data Integration
ハブの活用が重要な理由
なぜ「ハブ」が重要か?
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接続性の拡張:限られたインターフェースを最大限に活用
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通信の効率化:必要な情報だけを最短経路で届ける
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運用の集中管理:ネットワーク・USB・データ管理の一元化を実現
まとめ
ハブ(hub)は、ITインフラ・ネットワーク・デバイス接続・システム連携など多くの分野で中核的な役割を担う重要なコンポーネントです。
特に以下の3種類はそれぞれの文脈で理解しておく必要があります:
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ネットワークハブ:LAN環境での物理的中継装置
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USBハブ:周辺機器の同時接続を可能にする便利デバイス
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データハブ:システム間のデータ統合と配信を担うミドルウェア
それぞれの仕組み・役割・選び方・実装例を理解することで、より柔軟で効率的なIT設計・運用が可能になります。
これからIT分野で活躍したい方は、ぜひこの基本概念をしっかり身につけておきましょう。