バス型ネットワークとは?仕組みとメリット・デメリットをIT視点で徹底解説

IT辞書

バス型ネットワーク(bus network)は、複数のデバイスが1本の共通伝送路(バス)を介して接続されるネットワーク構成です。

この構成は、シンプルで低コストな配線が可能なため、小規模なLANやコンピュータ内部の回路設計などで今でも活用されています

本記事では、バス型ネットワークの基本構造、動作原理、通信制御方式、メリット・デメリットを解説し、ITシステムやデバイス設計における応用例も紹介します。

バス型ネットワークの基礎知識

バス型ネットワークとは?

バス型ネットワークとは、すべての端末(ノード)が一本の共通の通信路(バス)に直接接続されるネットワークトポロジーの一種です。

各ノードはこのバスを介して信号を送受信します。

構成イメージ

このように、すべての機器が一本のケーブルを共有して接続されるため、シンプルで配線コストが抑えられるのが特徴です。

通信方式と制御

バス型ネットワークに必要な通信制御とは?

複数の端末が同時にバスを利用しようとすると、データの衝突(コリジョン)が発生する可能性があります。

そのため、通信制御技術が不可欠です。

CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)

これは、イーサネットの初期に用いられていた方式で、「通信路が空いているか確認し、空いていれば送信。

衝突があった場合は再送信」というメカニズムです。

  • 使用例:10BASE-2、10BASE-5などの同軸ケーブル型イーサネット

マスター/スレーブ方式

機器内部や組込みシステムでは、中央制御装置(マスター)が通信のタイミングと順序を管理する方式が使われます。

  • 使用例:I²Cバス、SPI通信などのチップ間通信

バス型ネットワークの利点と課題

バス型構成のメリット

  • 配線が簡単でコストが安い

  • 中継装置が不要(スイッチやハブが不要)

  • 小規模ネットワークに最適

バス型構成のデメリット

  • 通信の衝突が発生しやすく、制御が必要

  • バスの断線=全体の通信停止のリスク

  • 通信トラフィックが多いとパフォーマンスが劣化

  • 拡張性が低い(多数のノードに対応しづらい)

バス型ネットワークの実用例

コンピュータ内部の回路設計

マザーボードやチップ内部では、データバス、アドレスバス、制御バスなどの形で、CPUとメモリや周辺機器がバスを共有します。

小規模LANや監視システム

  • 小規模な社内LAN(古いオフィスLAN)

  • 複数センサーやデバイスを一本の通信線で繋ぐ産業用ネットワーク

IoTや組込みシステム

  • I²CバスやCANバスなど、組込みデバイス間の低速通信に最適

  • 車載ネットワークや医療機器、センサー接続

まとめ

バス型ネットワークは、構成がシンプルでコストを抑えられるため、小規模なネットワークや電子機器内部の通信で広く使用されてきました

特に通信トラフィックが少なく、構成が固定されているシステムにおいては、非常に効果的な手法です。

ただし、衝突のリスクや拡張性の低さといった課題もあるため、現在ではスター型ネットワークやメッシュ型ネットワークに置き換えられるケースも増えています。

💡それでも、組込み開発やレガシー環境の理解には欠かせない知識です。

開発現場での選定や保守の際に、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。

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