パススルー(Pass Through)という言葉を耳にしたことはありませんか?
この用語はIT分野で頻繁に使われ、ネットワークや電源装置に関するさまざまな文脈で登場します。
本記事では、「パススルー」の意味や使われ方、具体的な活用事例まで詳しく解説し、エンジニアやIT担当者がより理解を深められる内容となっています。
ITインフラやモバイル機器に関わる方は、ぜひ最後までご覧ください。
パススルーとは何か?
パススルーの基本定義
パススルー(Pass Through)とは、英語で「通過する」「素通しにする」といった意味を持つ表現です。
ITの分野では、あるデータや信号が、機器の内部処理を経ることなくそのまま入力から出力へ通過する処理を指します。
この概念は単純に見えますが、ネットワーク通信や電力供給において非常に重要な機能です。
以下では、主要な分野別に詳しく見ていきましょう。
ネットワーク分野でのパススルー
VPNパススルー機能
ルータやファイアウォールなどのネットワーク機器では、特定の通信(たとえばVPNトンネル)を内部で解析・干渉せず、指定されたポート間で素通し(パススルー)させる必要があります。
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VPNパススルーとは:VPNプロトコル(PPTP, L2TP, IPsec など)による通信をルーターがブロックせず、そのまま通過させる機能。
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用途例:テレワーク環境で社内ネットワークにVPN接続する際に、家庭用ルーターでこの機能がないと接続がブロックされてしまう可能性がある。
PPPoEパススルーとIPv6パススルー
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PPPoEパススルー:プロバイダ接続において、PPPoEセッションをルータ越しに直接終端機器(PCなど)に到達させる機能。
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IPv6パススルー:IPv6の通信がルータを通ってもそのまま内部ネットワークに到達できるようにする設定。
✅ パススルー機能を有効にすることで、特定の通信がスムーズに通過し、ネットワークトラブルを回避できます。
電源・ハードウェア分野でのパススルー
モバイルバッテリーのパススルー充電
モバイル機器では、「パススルー充電」という形でこの概念が活用されています。
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意味:モバイルバッテリーが外部電源から充電されている間に、同時にスマートフォンなどの機器へ電力を供給する機能。
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仕組み:電源から受け取った電流の一部をバッテリーへ、一部をデバイスへ分岐して「素通し」供給する。
実用例:
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ノートパソコンやスマートフォンを移動中でも充電しながら使用したい場合に最適。
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停電時などのバックアップ電源としての活用。
🔋 この機能があるかどうかで、モバイルバッテリーの実用性は大きく変わります。
パススルーを利用する際の注意点
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セキュリティ:ネットワークでのパススルーは便利な一方、意図しない通信も通してしまう可能性があるため、十分な設定と管理が必要です。
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機器の互換性:すべてのルータやモバイルバッテリーがパススルー機能をサポートしているわけではありません。
購入時は仕様を確認しましょう。
まとめ
パススルーとは、データや電力を「そのまま通過させる」ことを意味し、ネットワーク通信やモバイル機器の充電など、多くのITシーンで重要な役割を果たします。
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ネットワーク分野では、VPN・PPPoE・IPv6通信などを円滑に通過させるために使われます。
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モバイルバッテリー分野では、複数機器を同時に効率よく充電可能にします。
この機能を理解し適切に利用することで、IT環境の構築やデバイス運用がよりスムーズになります。
パススルーというシンプルな概念が、ITインフラの中でどれほど実用的か、ぜひこの機会に理解を深めてみてください。