パラレルインターフェース(parallel interface) は、複数の信号線を用いて同時にデータを送受信する通信方式を指します。
コンピュータ内部や周辺機器との接続において、かつては高速なデータ転送手段として広く利用されていました。しかし、伝送速度の向上に伴い、信号線間の干渉や同期の問題が顕著となり、現在ではシリアルインターフェース(serial interface) が主流となっています。
本記事では、パラレルインターフェースの基本概念、代表的な規格、そしてその歴史的背景と現在の位置づけについて詳しく解説します。
パラレルインターフェースの基本概念
パラレル伝送方式とは?
パラレル伝送(parallel transmission) は、複数の信号線を同時に使用して、複数ビットのデータを一度に送受信する方式です。
これにより、単一の信号線を使用するシリアル伝送(serial transmission) よりも高速なデータ転送が可能となります。
主なパラレルインターフェース規格
IT分野で使用される代表的なパラレルインターフェース規格には以下のものがあります:
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ISAバス(Industry Standard Architecture):1980年代に登場し、PCの内部バスとして広く使用されました。
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PCIバス(Peripheral Component Interconnect):ISAバスの後継として登場し、高速なデータ転送を実現しました。
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IDE(Integrated Drive Electronics)/ATA(AT Attachment):ハードディスクやCD-ROMドライブとの接続に使用されました。
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SCSI(Small Computer System Interface):複数の周辺機器を接続するためのインターフェース規格です。
パラレルインターフェースの利点と課題
利点:
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高速なデータ転送が可能。
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複数のデバイスを同時に接続できる。
課題:
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信号線間のクロストークや干渉の問題。
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高速化に伴う信号の同期問題。
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ケーブルの取り回しが複雑になる。
パラレルインターフェースの歴史と現状
初期の利用と普及
パラレルインターフェースは、1980年代から1990年代にかけて、PCと周辺機器を接続する主要な手段として広く普及しました。
特に、プリンタや外付けハードディスクとの接続において、その高速性が評価されました。
シリアルインターフェースへの移行
しかし、データ転送速度の向上とともに、パラレルインターフェースの課題が顕在化しました。
信号線間の干渉や同期の問題が深刻化し、これらを解決するためにシリアルインターフェース が登場しました。
シリアルインターフェースは、単一の信号線でデータを順次送信する方式で、パラレルインターフェースに比べて設計が簡素であり、長距離伝送にも適しています。
現在の利用状況
現在では、USBやThunderboltなどのシリアルインターフェースが主流となり、パラレルインターフェースの利用はほとんど見られなくなりました。
しかし、特定の産業機器やレガシーシステムでは、依然としてパラレルインターフェースが使用されている場合があります。
パラレルインターフェースの応用例
プリンタとの接続
かつて、パラレルポート(IEEE 1284)は、PCとプリンタを接続する標準的なインターフェースとして広く使用されていました。
これにより、高速な印刷が可能となり、オフィス環境での生産性向上に寄与しました。
ハードディスクとの接続
IDEやATA規格は、ハードディスクとPCを接続するための主要なインターフェースとして使用されました。
これにより、大容量のデータストレージが可能となり、PCの性能向上に貢献しました。
SCSIによる周辺機器の接続
SCSIは、複数の周辺機器を一つのバスで接続するための規格で、特にサーバーやワークステーションでの利用が一般的でした。
これにより、複数のデバイスを効率的に管理することができました。
まとめ
パラレルインターフェース は、複数の信号線を用いて同時にデータを送受信する通信方式であり、かつてはPCと周辺機器を接続する主要な手段として広く利用されていました。
しかし、信号線間の干渉や同期の問題が顕在化し、現在ではシリアルインターフェース が主流となっています。
それでも、特定の産業機器やレガシーシステムでは、依然としてパラレルインターフェースが使用されている場合があります。
技術の進化とともに、通信インターフェースも変遷を遂げており、今後の動向にも注目が必要です。