マルチモード光ファイバー(MMF)の全貌とその特性

マルチモード光ファイバー(multi-mode optical fiber, MMF)は、通信分野において重要な役割を果たす光ファイバーの一種です。

本記事では、マルチモード光ファイバーの基本的な仕組み、種類、特性、および実際の用途について詳しく解説します。

マルチモード光ファイバーとは

基本概念

マルチモード光ファイバーは、コア(芯材)の径が比較的太く、光が複数の伝播経路を取ることができる光ファイバーです。

この特性により、異なるモードの光が複数の経路を通りながら、送信側から受信側へと到達します。

種類と構造

マルチモード光ファイバーは、主に以下の2つの種類に分けられます:

グレーデッドインデックス型(GI型)

GI型は、光の屈折率が中心から同心円状に連続的に変化する構造を持つ光ファイバーです。

この設計により、入射角の違いによる伝播速度の変化が抑えられ、相対的に長距離かつ広帯域の伝送が可能です。ただし、製造コストが高いため、主に通信事業者のバックボーンネットワークで使用されます。

ステップインデックス型(SI型)

SI型は、コア内部の光の屈折率が均一な構造を持つ光ファイバーです。

構造がシンプルで低コストですが、モードによる光の分散が大きく、長距離・広帯域の伝送には不向きです。

このため、主に短距離の通信や建物内の配線などで利用されています。

マルチモード光ファイバーの特性

マルチモード光ファイバー(MMF)の全貌とその特性

伝送特性

マルチモード光ファイバーは、複数のモードを通して光を伝送するため、異なる経路の長さによる到達時間のズレが生じます。

このズレにより、受信側では光がぼやけてしまうため、高速伝送には適していません。

また、光の分散は伝送距離が長くなるほど大きくなるため、長距離伝送にも向いていません。

材料とコスト

マルチモード光ファイバーは、透明なプラスチックなどの安価な素材で製造可能であり、曲げにも強いという利点があります。

これにより、コストを抑えつつ、様々な環境での使用が可能です。

実際の用途

マルチモード光ファイバーは、主に以下のような用途で使用されます:

  • ビル内配線: 短距離通信が必要なオフィスビルや商業施設内でのデータ伝送。
  • データセンター: サーバー間の高速データ転送に利用されることが多い。
  • 通信事業者の局舎から加入者宅: 短距離での通信を行うための接続。

まとめ

マルチモード光ファイバー(MMF)は、通信において重要な役割を果たす技術であり、特に短距離通信に適しています。

グレーデッドインデックス型とステップインデックス型の2つの主要なタイプがあり、それぞれ異なる特性を持っています。

今後の技術進化と共に、その応用範囲はさらに広がるでしょう。

 

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