モジュール結合度(module coupling)は、ソフトウェアの設計において非常に重要な概念です。
この用語は、ソフトウェアを構成するプログラムのモジュール(部品)同士の結びつきの強さを示しています。
モジュール間の結合度が低いほど、ソフトウェアのメンテナンス性や再利用性が向上し、結果としてプロジェクト全体の品質が高まります。
本記事では、モジュール結合度のさまざまなタイプについて詳しく解説し、それぞれの特徴と重要性を考察します。
モジュール結合度の種類
内容結合
内容結合(content coupling)は、結合度が最も強い状態を指します。
他のモジュールの内部動作に直接影響を受けたり、内部の状態を直接参照したりする場合です。
たとえば、モジュールAがモジュールBの内部変数にアクセスしている場合、これは内容結合に該当します。
このような高い結合度は、変更が他のモジュールに悪影響を及ぼすリスクを高めます。
共通結合
共通結合(common coupling)は、プログラム全体にわたって有効なグローバル変数を共有する状態を指します。
たとえば、モジュールAとモジュールBが同じグローバル変数を参照する場合、この結合度は共通結合とされます。
このような結合度は、グローバル変数の変更が多くのモジュールに影響を与えるため、注意が必要です。
外部結合
外部結合(external coupling)は、プログラムの外部で定義されたデータ形式や通信プロトコルを共有する状態を示します。
この場合、モジュール間で外部のリソースやインターフェースを介して情報をやり取りします。
たとえば、APIを介してデータを取得する場合が該当します。
制御結合
制御結合(control coupling)は、他のモジュールに処理内容を指示するためのデータを渡す場合を指します。
たとえば、フラグを使用して処理の流れを制御する場合がこれに当たります。
このような結合は、モジュール間の依存性を生むため、可能な限り避けるべきです。
スタンプ結合
スタンプ結合(stamp coupling)は、モジュール間で複合的なデータ構造を受け渡すが、そのすべてを使用するわけではない状況を指します。
たとえば、あるモジュールが複数のデータを含むオブジェクトを他のモジュールに渡す場合が該当します。
データ結合
データ結合(data coupling)は、引数や返り値などの単純な型のデータを受け渡す場合を指します。
一般的な関数やメソッドの結合は、この結合度に分類されます。
この結合は比較的弱く、モジュール間の独立性を高めることができます。
メッセージ結合と無結合
メッセージ結合(message coupling)は、単に呼び出しを行えるだけで、データの受け渡しを行わない状態を指します。
一方、無結合(no coupling)は、まったく何の結びつきもない状態を意味します。
これらの状態は、モジュール間の依存性を最小限に抑えるための理想的な形です。
まとめ
モジュール結合度は、ソフトウェア設計における重要な要素であり、モジュール間の結びつきの強さを示す指標です。
結合度が高いと、ソフトウェアのメンテナンス性や再利用性が低下するため、可能な限り低い結合度を目指すべきです。
内容結合、共通結合、外部結合、制御結合、スタンプ結合、データ結合、メッセージ結合、無結合といったさまざまな結合度のタイプを理解することで、より効率的で柔軟なソフトウェア設計が実現可能です。