ロードバランサ(load balancer)は、ネットワークにおける重要な通信制御装置であり、外部からのデータや処理要求を複数のシステムに均等に振り分ける役割を担っています。
この技術は、サーバの負荷を分散し、全体の性能を向上させるために不可欠です。
本記事では、ロードバランサの仕組み、種類、利点、そして実際の運用における応用について詳しく解説します。
ロードバランサの基本概念
ロードバランサの定義
ロードバランサとは、外部から送信されるデータや処理要求を、同等に機能する複数のシステムに振り分け、一台あたりの負荷を軽減する装置です。
特に、サーバの負荷を分散する「サーバロードバランサ」が広く利用されています。
役割と設置場所
ロードバランサは、外部とシステム群の間に設置され、外部からの要求を何らかのルールに基づいて各システムに振り分けます。
これにより、要求が増加してもシステムの数を増やすことで全体の対応能力を向上させることができます(スケーラビリティの向上)。
ロードバランサの機能
死活監視機能
多くのロードバランサは、各装置が正常に稼働しているかを監視する死活監視機能を備えています。
これにより、応答速度が低下したり停止した装置への割り当てを即座に中止し、システムの安定性を保つことができます。
自動切り離し機能
特定の装置の保守や交換を行う際にも、サービスを継続しながら特定の装置を切り離す機能を持つ製品が多く、システム全体の可用性(アベイラビリティ)を向上させます。
要求の割り当て方式
1. ラウンドロビン方式
「ラウンドロビン」方式では、接続要求が順番に均等に各装置に割り当てられます。
この方式はシンプルで導入が容易ですが、各サーバの負荷状況に応じた最適な分配が難しいことがあります。
2. 最小接続数方式
「最小接続数」方式は、現在接続しているクライアント数が最も少ないサーバに要求を割り当てる方式です。
この方式は、負荷が均等に保たれるため、多くの環境で使用されています。
3. 最速応答時間方式
「最速応答時間」方式では、最も早く応答したサーバに接続要求が割り当てられます。
これにより、ユーザーは迅速なサービスを受けられます。
4. 重み付けラウンドロビン方式
装置の処理能力に差がある場合、「重み付けラウンドロビン」方式を使用することで、あらかじめ設定された割合で負荷を振り分けることが可能です。
これにより、リソースを最適に活用できます。
セッション管理の重要性
多くのアプリケーションでは、同じクライアントが接続状態(セッション)を維持しながら繰り返しデータをやり取りします。
この際、毎回異なるサーバに接続されると処理に矛盾が生じるため、同一セッション中は前回と同じサーバに割り当てるセッション維持機能が必要です。
まとめ
ロードバランサは、システム全体の性能や可用性を向上させるために欠かせない装置です。
様々な要求割り当て方式や監視機能により、ユーザーに対して迅速で安定したサービスを提供します。
今後のIT環境において、ロードバランサの役割はますます重要になるでしょう。
さらに参考してください。