不揮発性メモリとは?仕組み・種類・用途をわかりやすく解説

IT辞書

不揮発性メモリ(non-volatile memory)とは、電源を切ってもデータを保持できる記憶装置のことです。

現代のスマートフォン、SSD、組み込み機器、IoTデバイスに広く利用されており、ストレージ技術の根幹を支える存在です。

本記事では、不揮発性メモリの基本的な仕組みから種類、各種メモリの特徴や用途までを、ITエンジニア向けに詳しく解説します。

不揮発性メモリとは?

不揮発性メモリの定義

不揮発性メモリとは、電源供給が停止しても記録内容を保持できるメモリです。

これに対して、電源を切ると内容が消えるメモリは揮発性メモリ(volatile memory)と呼ばれます。

揮発性メモリとの違い

不揮発性メモリの種類と特徴

ROM系メモリ

ROM(Read Only Memory)

  • 製造時に書き込まれる固定データ用メモリ

  • 家庭用ゲーム機のカートリッジやファームウェア保存に利用

  • 書き換え不可

PROM、EPROM、EEPROM

  • PROM:一度だけ書き込み可能なプログラマブルROM

  • EPROM:紫外線照射で消去可能

  • EEPROM:電気的に消去・再書き込みが可能

  • フラッシュメモリの基礎技術となる

フラッシュメモリ

NAND型・NOR型

  • スマートフォンやUSBメモリ、SSDに搭載される主流の不揮発性メモリ

  • 特徴:

    • 高密度・大容量

    • 書き換え可能だが、耐久性に制限あり(書き換え回数に限度)

用途例

  • SSD(Solid State Drive)

  • USBメモリ、SDカード

  • 組み込み機器、カメラ、スマート家電

次世代メモリ:ユニバーサルメモリ候補

MRAM(磁気抵抗メモリ)

  • 電気ではなく磁気を利用してデータを保存

  • DRAMに匹敵する速度と書き換え耐性

  • CPUのキャッシュ、車載システム向けに実用化が進む

FeRAM(強誘電体メモリ)

  • 電圧による極性反転でデータを記録

  • 高速・低消費電力

  • 医療機器やICカードなど高信頼性が求められる分野で活躍

不揮発性メモリの活用事例

スマートフォン・PCのストレージ

スマートフォンでは内蔵フラッシュメモリが採用され、写真・動画・アプリなどの保存に使われます。

PCではSSDがHDDに代わる高速ストレージとして普及しています。

組み込み・IoT機器

EEPROMやFeRAMは、IoTデバイスでのログ保存やファームウェア記録に適しており、省電力・高耐久が求められる場面で利用されます。

自動車や航空機システム

MRAMやFeRAMのように高信頼性・耐環境性を備えた不揮発性メモリは、エンジン制御ユニットやセンサーデータの記録に利用されるケースが増加しています。

今後の展望:メモリとストレージの融合

将来的には、不揮発性かつ高速な次世代メモリが主記憶装置としてCPUに近い位置で利用される可能性が高まっています。

これにより、メモリとストレージの境界が曖昧になるユニバーサルアーキテクチャが実現すると期待されています。

まとめ

本記事では、不揮発性メモリについて以下の観点から解説しました:

  • 電源を切ってもデータが保持される記憶装置

  • 代表例はフラッシュメモリ、ROM、MRAM、FeRAMなど

  • スマホ、PC、自動車、IoTなど幅広い分野で使用

  • 今後は主記憶装置としての活用も期待される

不揮発性メモリは、単なるデータ保存手段にとどまらず、システムのパフォーマンスや安定性、消費電力に直結する重要要素です。

次世代ITインフラを支える基盤技術として、引き続き注目しておくべき分野です。

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