反射攻撃(リプレイアタック)は、近年のサイバー攻撃で頻繁に利用される手口の一つです。
認証データの再送によってユーザーになりすまし、不正にシステムへアクセスするこの手法は、パスワードが暗号化されていても成立してしまう厄介な脅威です。
本記事では、反射攻撃の仕組み、被害のリスク、IT現場での具体的な対策まで、専門的な視点から詳しく解説します。
反射攻撃(リプレイアタック)の仕組みとは?
反射攻撃の基本的な流れ
反射攻撃(Replay Attack)とは、ネットワーク上で盗聴した認証情報をそのまま再利用して、システムに不正アクセスする攻撃手法です。
たとえば以下のような流れになります:
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正規ユーザーがサーバにログインする際、IDやパスワード、認証トークンなどの通信データが送信される
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攻撃者がこのデータをネットワーク上で盗聴し、保存する
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後で攻撃者がそのまま同じデータを再送信し、不正ログインを試みる
このように、通信の内容が盗聴されるだけで、たとえパスワードが暗号化されていたとしても、暗号化されたままのデータを再利用することで侵入されてしまうのです。
なぜ防ぎにくいのか?
反射攻撃の恐ろしさは、「パスワードそのものが漏洩していなくても成立してしまう」点にあります。
多くのシステムでは、認証データの送信形式が固定されているため、一度盗まれたデータを再送されてもそれが不正かどうか判断できません。
攻撃の具体例とそのリスク
例:簡易なWeb認証の脆弱性
ある古いWebシステムでは、ログイン時にIDと暗号化パスワードをPOSTで送信し、それをサーバ側で毎回同じ方法で検証していました。
攻撃者は一度この通信を盗聴することで、その後何度でも認証情報を再送信し、アクセス可能となります。
リスクのある場面
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無線LANを利用した通信(盗聴されやすい)
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HTTPSではなくHTTP通信(暗号化されていない)
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セッション管理が不適切なWebサービス
反射攻撃への代表的な対策
ワンタイムパスワード(OTP)の導入
毎回異なる使い捨てのパスワードを利用することで、盗聴された認証情報を再利用されても効果がありません。
たとえばGoogle AuthenticatorやRSAトークンなどがこの手法を採用しています。
ノンス(Nonce)やワンタイムトークンの活用
サーバが毎回ランダムなトークンを生成し、クライアントがそれを使って認証データをハッシュ化する方法です。これにより、毎回異なるハッシュ値が生成され、再送信では認証が失敗します。
タイムスタンプの利用
リクエストにタイムスタンプを付与し、一定時間を過ぎたら無効とすることで、過去の認証情報が使えないようにする手法です。
セキュアな通信プロトコルの利用
HTTPSのようなSSL/TLSによる暗号化通信を使用することで、ネットワーク上の盗聴を防止するのも基本的な対策です。
まとめ
反射攻撃(リプレイアタック)は、認証データを盗聴・再送信するだけで不正アクセスが可能となる非常に危険な攻撃手法です。
特に、認証データの形式が毎回固定されているシステムでは、パスワードが暗号化されていても防げません。
この攻撃を防ぐためには、以下のような多層的な対策が必要です:
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ワンタイムパスワードやノンスの導入
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タイムスタンプ検証
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通信のHTTPS化
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セッション管理の強化
現代のITシステムにおいて、セキュリティは設計段階からの配慮が不可欠です。
反射攻撃を防ぐことは、情報漏洩や不正利用を防ぐ第一歩となります。