状態遷移図（State Transition Diagram）：システムの動作を視覚化する鍵

状態遷移図は、システムやオブジェクトが持つ状態と、その状態間の遷移条件を視覚的に示す重要なツールです。特にソフトウェア開発やシステム設計において、状態遷移図はシステムの動作を理解し、適切なテストケースを作成するために欠かせません。

本記事では、状態遷移図の定義、構成要素、実際の使用例、およびUML（Unified Modeling Language）との関連について詳しく解説します。

状態遷移図とは

1. 定義と目的

状態遷移図は、特定の対象が持つさまざまな状態と、その状態がどのような条件や出来事によって遷移するのかを示す図です。

対象の状態は円や矩形で示され、遷移は矢印で表されます。

これにより、システムの動作を一目で把握できるようになります。

2. 状態の表現方法

• 状態の表現: 状態遷移図では、対象の状態を円や矩形で表し、それらを矢印で繋ぎます。
• 矢印には、遷移が発生するための条件やイベントを記述します。
• 特殊記号の使用: 開始状態は塗りつぶした丸印（●）、終了状態は内側を塗りつぶした二重丸で表現します。この表現は、UMLにおいても同様です。

状態遷移表の活用

1. 状態遷移表とは

状態遷移表は、状態遷移図の各状態を行として表現した表です。

各列にはイベントが示され、特定の状態でイベントが発生した場合にどの状態に遷移するかを記述します。

2. テストケース作成の重要性

ソフトウェア開発では、状態遷移表を使ってテストケースを網羅的に作成することが重要です。

これにより、システムの動作が正しく実装されているかを確認できます。

ステートマシン図との関連

1. ステートマシン図の定義

UMLにおけるステートマシン図は、状態遷移図と同様にオブジェクトの振る舞いを記述します。

開始状態や終了状態、遷移条件を明示的に示すための形式です。

2. 記述方法

• 開始状態: 塗りつぶした丸印（●）
• 終了状態: 内側を塗りつぶした二重丸
• 途中の状態: 角丸の矩形で表現
• 遷移の説明: 矢印に遷移の説明を添え、実行する動作がある場合は矩形を分割して記述します。

まとめ

状態遷移図は、システムの動作や振る舞いを理解するための強力なツールです。

これを用いることで、システムの状態と遷移を視覚化し、テストケースの作成や仕様書の作成が容易になります。UMLとの関連性も踏まえ、状態遷移図の重要性を再認識しましょう。

システム開発において、状態遷移図を活用することで、より高品質なソフトウェアの実現が可能になります。

さらに参考してください。

オートマトン（Automaton）：計算機の動作を理解するための基本モデル