表面実装(SMT)とは?基板実装の主流技術とリフローはんだ付けの仕組みを徹底解説

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近年の電子機器はますます小型化・高性能化が進んでおり、その開発を支える中核技術の一つが「表面実装(SMT:Surface Mount Technology)」です。
表面実装技術は、電子部品を基板の表面に直接実装する方法で、製造の自動化、高密度実装、小型化を実現します。
本記事では、表面実装の基本的な流れから「リフローはんだ付け」までの工程、さらに他の実装方式との比較やIT・エレクトロニクス分野での応用事例について詳しく解説します。

表面実装(SMT)とは?

表面実装の概要

表面実装(Surface Mount Technology:SMT)とは、電子部品をプリント基板(PCB)の表面に直接取り付ける実装技術です。

はんだペーストを用いて接着し、その後に加熱(リフロー)して部品を固定します。

基本のプロセス

  1. クリームはんだの印刷
     クリーム状にはんだ(はんだペースト)を基板上の電極(パッド)に専用印刷機で塗布。

  2. 部品の実装(チップマウンター)
     表面実装機(チップマウンター)を用いて、ICや抵抗、コンデンサなどの部品を所定の位置に配置。

  3. リフローはんだ付け
     リフロー炉(reflow oven)で加熱し、はんだを溶かして電極に接着。

               冷却により部品が固定される。

このプロセスにより、高精度かつ高速に電子基板を組み立てることが可能になります。

リフローはんだ付けの仕組み

リフローソルダリングとは?

リフローはんだ付け(Reflow Soldering)とは、SMTで使われるはんだを熱によって再流動(リフロー)させて接合する技術です。

工程の詳細

  • 加熱プロファイルは4つのステージに分けられます:

ステージ 内容
予熱(Preheat) 基板と部品全体を均一に加熱し、熱ショックを防ぐ
均熱(Soak) フラックスの活性化、酸化膜の除去
リフロー(Reflow) はんだが溶けて部品とパッドが接着
冷却(Cooling) はんだが固まり、確実な接合を形成

温度管理が非常に重要であり、不適切な加熱は接合不良や部品の損傷につながります。

他の実装方式との比較

スルーホール実装との違い

スルーホール実装(Through-hole Technology)は、リード付きの部品を基板の穴に挿入してはんだ付けする従来型の方式です。

比較項目 表面実装(SMT) スルーホール実装
実装密度 高い 低い
自動化 可能 限定的
コスト 安価(大量生産時) 高価
機械的強度 低め(補強要) 高い

ベアチップ実装(COB)との違い

ベアチップ実装(Chip On Board, COB)は、ICチップを樹脂封止せず直接基板に取り付ける方法です。

  • 高性能・小型化に適するが、製造・検査が複雑で専用の工程が必要。

  • 一方、SMTは汎用性が高く、標準的な自動ラインで製造できるため、コストと安定性で優れています。

IT・電子機器分野での活用例

スマートフォンやノートPC

SMTによる高密度実装は、スマートフォンやノートPCなどのモバイル端末の薄型・軽量化を支える基盤技術です。複数のICやセンサが限られたスペースに組み込まれています。

IoT・ウェアラブル端末

IoT機器やウェアラブルデバイスでは、超小型部品の実装が求められ、SMTが不可欠です。

省スペースで高性能な回路設計が可能になります。

基板設計・試作における応用

近年では、3Dプリント+SMT実装のプロトタイピングが進んでおり、開発スピードを飛躍的に向上させています。

EDAツールとの連携で、設計から実装までの自動化も進行中です。

まとめ

表面実装(SMT)は、現代の電子製品に欠かせない最も一般的かつ効率的な実装技術です。

本記事のポイント

  • SMTは、電子部品を基板表面に取り付ける手法であり、自動化・高密度実装に適する

  • リフローはんだ付けは、SMTにおける中核プロセスであり、温度制御が品質のカギ

  • スルーホールやベアチップ実装との比較で、SMTのバランスの良さと汎用性が明確

  • IT分野では、スマホ・IoT・試作ボードなどで幅広く実用化

今後も、電子機器のさらなる高機能化・小型化に対応するため、SMTの理解と活用はますます重要になります。

さらに参考してください:

【標本調査とは】母集団を推定する統計手法の基本とIT分野での応用

 

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