調歩同期とは?非同期シリアル通信の基本と仕組み・特徴を徹底解説【RS-232Cも例に解説】

調歩同期(start/stop synchronization)は、非同期シリアル通信において基本となるデータ転送方式です。

同期信号の専用線を用意せず、データ自体に「スタートビット」と「ストップビット」を付加して通信タイミングを同期させる点が特徴です。

本記事では、調歩同期の仕組みから、他の同期方式との違い、実際の適用例(例:RS-232C)までを、IT専門家の視点でわかりやすく解説します。

調歩同期とは?

スタートビットとストップビットで同期をとる方式

調歩同期とは、通信機器同士がタイミングを合わせるために、データ信号内に同期情報を埋め込む方式です。「非同期シリアル通信」の一種とされ、以下のようなビット構成で1文字(1バイト)単位のデータを送ります。

ビット構成の例

  • スタートビット(Start Bit):通信開始を示す(通常「0」)

  • データビット(Data Bit):送信される実データ(7bitまたは8bit)

  • パリティビット(Parity Bit):誤り検出用(任意)

  • ストップビット(Stop Bit):通信終了を示す(「1」、場合によっては1.5ビットや2ビット)

他の同期方式との違い

同期通信と調歩同期の比較

調歩同期は構造が単純で安価に実装できますが、毎文字に制御ビットを付加するためオーバーヘッドが発生します。

よって、リアルタイム性やスループットが要求される高速通信には不向きです。

調歩同期の適用例

RS-232C における活用

RS-232Cは、コンピュータと周辺機器間のシリアル通信プロトコルで、代表的な調歩同期の実用例です。

  • 1対1のデバイス接続

  • スタート/ストップビット方式を使用

  • ボーレート(通信速度)を事前に送受信機側で合わせる必要あり(例:9600bps)

実用シーン

  • モデム通信

  • POSレジとプリンタの通信

  • 組み込み機器とPC間の通信

調歩同期方式の利点と課題

メリット

  • 同期用の信号線が不要 → 実装が簡単

  • 通信距離が短い場合や低速通信に最適

  • ハードウェアの構造がシンプルでコスト削減

デメリット

  • データ効率が悪い(制御ビットの付加が必要)

  • 通信速度が制限される(高速用途には不向き)

  • 伝送エラーが起きやすい場合、誤り検出機構が不可欠

よくある設定のパラメータ例

上記設定は、シリアル通信ソフトウェアやマイコン開発環境で頻繁に用いられています。

調歩同期と非同期通信の関係

非同期通信の中の一方式としての位置づけ

調歩同期は「非同期通信」の一形態と考えられています。

非同期通信とは、クロックの共有を必要としない通信方式の総称であり、その中でも最も一般的な手法が調歩同期です。

非同期通信に含まれる他の例としては:

  • USBの一部通信モード

  • UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)通信などもあります。

まとめ

調歩同期は、スタートビットとストップビットを利用して通信タイミングを同期する非同期方式です。

専用の同期信号を使わず、構成がシンプルで低コストなため、RS-232Cやシリアル通信において広く利用されています

ただし、1文字あたりの伝送効率が低下するという課題もあるため、用途に応じた使い分けが重要です。

現代の組み込み開発やレガシーシステムとの連携では、今もなお必要不可欠な技術となっています。

さらに参考してください:

非同期とは何か?同期との違い・処理モデル・実用例まで徹底解説

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