順序尺度(ordinal scale)は、統計やデータ分析において非常に重要な数値データの尺度の一つです。
順序尺度は、数字の大小が順位や順序を表現するために用いられますが、値の間隔や比率には意味がありません。本記事では、順序尺度の定義、特徴、具体例、そして他の尺度との違いについて詳しく解説します。
順序尺度の基本概念
1. 順序尺度の定義
順序尺度は、統計的な変数やデータを情報の性質に基づいて分類した「尺度水準」の一つであり、1946年に米心理学者スタンレー・スティーブンズによって提唱されました。
順序尺度は、名義尺度に次いで2番目に低い水準で、データの大小を比較することができます。
2. 特徴
順序尺度では、値の大小を比較することができますが、具体的な数値の差や比、割合には意味がありません。
たとえば、「Aの成績はBよりも良い」とは言えますが、「AはBの2倍良い」とは言えません。
これは、数値の間隔が不明瞭であるためです。
順序尺度の統計的利用
1. 使用される統計量
順序尺度で使用される統計量には、以下のものがあります:
- 度数: 各カテゴリーの出現回数を示します。
- 最頻値: 最も頻繁に出現する値を表します。
- 中央値: データを昇順または降順に並べたときの中央の値です。
- 四分位数: データを四つの部分に分ける指標です。
- パーセンタイル: 特定のパーセントに該当する位置を示します。
2. 具体例
順序尺度の具体例には、以下のようなものがあります:
- 競技の順位: 1位、2位、3位など。
- 成績の段階評価: 優、良、可など。
- 検定制度の段位や級: 例えば、将棋や柔道の段位。
- 自動車保険の等級: 保険の等級によってリスクを示します。
- がんのステージ: がんの進行度を示す指標。
- 国際原子力事象評価尺度: 原子力事故の深刻度を評価する尺度。
順序尺度と他の尺度との違い
1. 名義尺度との違い
名義尺度(nominal scale)は、データをカテゴリーに分類するだけで、順位を表すことはできません。
たとえば、性別や国名などは名義尺度です。
2. 間隔尺度と比例尺度との違い
間隔尺度(interval scale)や比例尺度(ratio scale)は、数値の間隔や比に意味があります。
たとえば、温度や重さは間隔尺度や比例尺度に該当し、数値の差や比を計算できます。
一方で、順序尺度はその計算ができません。
まとめ
順序尺度は、統計データの分析において重要な役割を果たします。
数値の順位や順序を表すことができる一方で、値の間隔や比には意味がないという特性があります。
具体的な使用例として、競技の順位や段階評価などが挙げられます。
この理解は、統計分析を行う上で欠かせない知識であり、データの解釈や意思決定に大いに役立ちます。
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