ソースルーティング(source routing)は、ネットワーク上でデータ送信元が途中の経路を指定する通信方式です。本記事では、ソースルーティングの基本概念、主要な種類、実際の適用例、及びその利点と欠点について詳しく説明します。
これにより、IT分野におけるネットワークの理解が深まるでしょう。
ソースルーティングの定義
概要
ソースルーティングとは、中継機器が複数の経路を形成しているネットワークにおいて、データの送信元が通過すべきルータのIPアドレスを指定する方式です。
この技術は、主にIPネットワークで利用されます。
インターネットのような大規模なネットワークでは、通常、隣接するルータが経路情報を交換し、データグラムが到着するたびに経路を調べて次の転送先を決定します。
IPプロトコルにおけるソースルーティング
IPの仕様では、送信元が宛先までの経路を指定するための方法が定義されています。
具体的には、送信元が経由すべきルータのIPアドレスをすべて列挙し、途中の機器がそれに従ってデータを転送します。
ソースルーティングの種類
ストリクトソースルーティング(SSRR)
- 定義: ストリクトソースルーティング(SSRR:Strict Source and Record Route)は、送信側がIPデータグラムのヘッダに経由するルータのIPアドレスをすべて列挙する方式です。
- 特徴: すべての経由地を指定するため、データが特定の経路を通ることが保証されます。
- 主に問題調査や特定の経路でのデータ伝送に利用されます。
ルーズソースルーティング(LSRR)
- 定義: ルーズソースルーティング(LSRR:Loose Source and Record Route)は、いくつかの経由地を指定し、そこから先は途中のルータに経路を任せる方式です。
- 問題点: LSRRは、攻撃に悪用されるリスクが高いため、多くの場合、インターネット上では転送が拒否されることがあります。
ソースルーティングの実際の適用
ネットワーク診断
ソースルーティングは、特定の経路でデータを送信する必要がある場合に役立ちます。
例えば、ネットワークのトラブルシューティング時に、問題が発生している経路を特定するためにSSRRを用いることがあります。
セキュリティリスク
一方で、LSRRはセキュリティ上の理由から、インターネットでは一般的に使用されないことが多いです。
攻撃者がこの技術を利用して、ネットワークに不正アクセスを試みる可能性があるため、注意が必要です。
IPv6におけるソースルーティング
次世代のIPv6でも、送信側が拡張ヘッダに経由アドレスを書くことができる仕組みがあります。
これにより、ルーズソースルーティング相当の経路指定が可能ですが、任意個の経由地を指定できるType 0のルーティングヘッダは、攻撃に悪用される恐れから廃止されました。
現在、モバイルIPv6などでは、経由地を一つだけ指定するType 2が利用されています。
まとめ
ソースルーティングは、ネットワーク上でデータの送信元が特定の経路を指定する重要な技術です。
SSRRとLSRRの2つの主要なタイプがあり、それぞれに特性と適用場面があります。
特に、ネットワークのトラブルシューティングにおいて有用である一方、セキュリティリスクも伴います。
今後のネットワーク設計や管理において、これらの特性を理解することが重要です。
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