ハイフンマイナス(hyphen-minus) は、日常でもプログラミングでも頻繁に目にする「短い横棒」の記号です。一見単純なこの記号ですが、ハイフンとマイナスという2つの意味を持ち、使い方を誤ると予期しない挙動やバグを招くこともあるため、正しい理解が求められます。
この記事では、ITの現場で重要となるハイフンマイナスの使い方、文字コードとの関係、Unicodeとの違い、注意点などを詳しく解説します。
ハイフンマイナスとは何か?
ハイフンとマイナスを兼ねる記号
ハイフンマイナス(-) は、ASCIIコードで定義された記号で、「ハイフン(-)」と「マイナス(−)」の機能を兼ねる特殊な記号です。
形状は1つでも、文脈によって意味が変わります。
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単語を結合する:「man-hour」など
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数値の減算や負数を表す:「2-1」「-5」など
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行末の改行処理(ハイフネーション):例「hyphen-」→次行「ation」
文字コードにおける位置
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ASCIIコード:十進数で45、16進数で2D
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Unicode:U+002D(ハイフンマイナス)
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通常、標準キーボードの「= -」キーで入力
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テンキー右上にも配置されている
プログラミングにおけるハイフンマイナスの活用
減算および負数の表現
多くのプログラミング言語(例:C言語、JavaScript、Python)では、-
は減算演算子や負数を示す記号として使われます。
単項演算子(デクリメント)
C言語やC系の言語では、--
という構文で「デクリメント(1を減らす)」という単項演算子になります。
CLIやオプション引数の記述
Linuxなどのコマンドラインでは、-
を使ってオプション引数を指定します。
この「-l」もハイフンマイナスによる記述です。
他の類似記号との違い
Unicodeにおける区別
Unicodeでは、以下のように用途に応じてハイフンやマイナス、ダッシュが明確に分けられています:
表示や動作の差異に注意
見た目が似ていても、文字コードが違うと意味や動作も変わります。
たとえば、-1
(U+002D + 数字)と、−1
(U+2212 + 数字)は、プログラムで異なる文字として扱われるため、バグの原因になることがあります。
実務での使用例と注意点
よく使われる場面
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電話番号や郵便番号:例「03-1234-5678」「100-0001」
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日付:例「2025-05-20」
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スコア表記:例「4-3」
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型番やコード:例「PC-9801」「PS5-101」
ITエンジニアの注意点
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ハードコーディング時は正しいコードポイントを使用する
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他言語とのインポート時に文字化けや異常動作を防ぐため、U+002Dを明示的に使用
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テキスト処理や正規表現で使う場合、ハイフンが特別な意味を持つため注意
まとめ
ハイフンマイナス(-)は、ハイフンとマイナスの両方の役割を担う記号であり、ITの世界では欠かせない存在です。
ASCIIの45番として誕生し、今ではプログラミング、システム設定、データ表現など幅広い分野で使われています。
その一方で、Unicodeでは複数の「似た横棒」が定義されており、適切に使い分けることが求められます。
特にソフトウェア開発やデータ処理の場では、見た目だけで判断せず、文字コードの違いを理解した上で使うことが重要です。
ハイフンマイナスを正しく理解し、適切に扱うことは、信頼性の高いITシステムを構築するうえでの基本です。