MACアドレステーブルは、ネットワークスイッチが内部で管理している情報で、どのポートにどのMACアドレスを持つ機器が接続されているかを記録しています。
本記事では、MACアドレステーブルの役割、動的および静的MACアドレスの学習プロセス、エイジアウト機能の重要性、さらにARPテーブルとの違いについて詳しく解説します。
MACアドレステーブルの基本
1. MACアドレスとは?
MACアドレスは、ネットワーク接続可能な機器に製造時に割り当てられる固有の識別番号です。
これは、EthernetのようなL2ネットワークにおいて、機器の識別やデータの宛先指定に使用されます。
各デバイスは、NIC(Network Interface Card)やアダプタごとに一意のMACアドレスを持っています。
2. MACアドレステーブルの機能
ネットワークスイッチは、接続されている機器のMACアドレスをMACアドレステーブルに登録します。
これにより、以降の通信は特定のポートにのみ転送され、無関係なポートへの転送が回避されます。
これにより、ネットワークのパフォーマンスが向上します。
3. 最大エントリ数
各ポートにコンピュータが直接接続されている場合、MACアドレステーブルの最大エントリ数はポート数と同じになります。
しかし、企業環境ではスイッチの多段接続やWi-Fiアクセスポイントの利用が一般的であり、1つのポートの先に多数の機器が接続されることがよくあります。
これに対応するため、テーブルのエントリ数は数千や数万に設定されることがあります。
MACアドレスの学習
1. 静的MACアドレスと動的MACアドレス
MACアドレスがテーブルに登録される方法には、管理者が手動で登録する「静的MACアドレス」と、機器が自動的に登録する「動的MACアドレス」の2つがあります。
静的MACアドレスは特殊な場合に使用されることが一般的で、動的MACアドレスの登録が主流です。
2. MACアドレス学習プロセス
MACアドレスの学習は、ポートを通過するフレームの送信元MACアドレスを読み取り、そのポートとアドレスを関連付けるプロセスです。
多くのスイッチは、送信元MACアドレスだけでなく、宛先MACアドレスの情報も利用して学習を行います。
エージアウト(エイジング)
1. エイジアウトの仕組み
端末やスイッチの接続先が変更されることがあるため、動的に登録されたMACアドレスが永続的に残っていると、移動した機器が通信できなくなることがあります。
このため、一定時間が経過した後に自動的にエントリを削除する「エージアウト」の仕組みがあります。
2. エージングタイム
エージングタイムは、登録されたアドレスが消去されるまでの期間を指し、通常は数百秒から数分に設定されます。
手動で登録されたアドレスにはエージングタイムは適用されません。
ARPテーブルとの違い
コンピュータやルータはIPアドレスを用いて機器を識別し、宛先を指定します。そのため、ARP(Address Resolution Protocol)を用いてIPアドレスとMACアドレスの対応表である「ARPテーブル」を作成します。
一部のL3スイッチは、MACアドレステーブルとARPテーブルの両方を使用して、転送方式に応じた通信を行います。
まとめ
MACアドレステーブルは、ネットワークの基盤を支える重要な要素であり、通信の効率を向上させるために欠かせません。
動的および静的MACアドレスの管理、エージアウト機能、ARPテーブルとの違いを理解することで、ネットワーク管理者はより効果的にネットワークを運用できるようになります。
今後もこの知識は、IT分野において重要な役割を果たし続けるでしょう。