CAGR(Compound Annual Growth Rate/年平均成長率)は、複数年にわたる成長を一貫した年単位の成長率として表す重要な指標です。
特に、企業分析、マーケットリサーチ、投資判断、さらにはデータ解析を行うITエンジニアにとっても、この概念を理解することは不可欠です。
本記事では、CAGRの定義から実際の計算方法、IT分野での応用例までをわかりやすく解説します。
読み終わる頃には、CAGRを使ってデータを正確に評価できるスキルが身につくでしょう。
CAGRの基本知識
CAGRとは何か?
CAGR(年平均成長率)は、対象となる数値が一定期間でどれだけ増加または減少したかを、毎年同じ割合で変化したと仮定して算出する成長率です。
単純平均ではなく、幾何平均を用いるのが特徴です。
CAGRの具体的な計算方法
実例:売上が3年間で30%増加した場合
問題:
初年度の売上が100、3年後の売上が130(=30%増)とすると、毎年何%ずつ成長したことになるか?
解法:
ExcelでのCAGR計算(RRI関数)
Microsoft Excelでは、RRI関数を使えば簡単にCAGRを算出できます。
この関数は、「年数、開始値、終了値」を指定することで利率(年平均成長率)を求めてくれる便利なツールです。
CAGRのIT領域における応用
プロダクト成長率の測定
SaaSビジネスなどの成長分析において、ユーザー数のCAGRを用いると、年間どれだけ新規ユーザーが増えているかを一貫して評価できます。
例:
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2019年:5,000ユーザー
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2023年:12,000ユーザー
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CAGR = (12000/5000)1/4−1≒0.252(12000 / 5000)^{1/4} – 1 ≒ 0.252
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年平均成長率 ≒ 25.2%
マーケットスケールの予測
IT業界で新規事業やプロダクトローンチを検討する際、市場の過去数年のCAGRを調べることで、将来の市場規模を予測することができます。
例:「2020年から2024年までにクラウド市場はCAGRで18%成長」
このような情報は市場動向分析や事業計画策定に非常に役立ちます。
投資評価指標としてのCAGR
CAGRはROI(投資収益率)の計算にも活用されます。
特に複利効果がある投資商品やサービスでは、年ごとの利回りよりCAGRの方がより正確な成長イメージを描けます。
CAGRと他の成長指標の違い
まとめ
CAGR(年平均成長率)は、ビジネスだけでなくIT分野でも活用できる非常に汎用性の高い成長指標です。
単純平均では把握しづらい一貫性ある成長トレンドを明確にすることができ、投資判断やプロダクトの評価、マーケットの将来性分析において強力な武器となります。
また、Excelを使った簡単な算出方法や実務での応用例も把握することで、データ分析力や戦略設計力の向上にもつながります。
CAGRを正しく理解し、活用することで、より深いデータインサイトを手に入れましょう。
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