**CLR（Common Language Runtime）**は、マイクロソフトが提供する.NETプラットフォームの中心的なコンポーネントであり、.NETアプリケーションの実行環境を提供します。
この技術により、異なるプログラミング言語で書かれたコードを共通の形式で実行し、様々な機器やOS上で一貫した動作を保証します。
この記事では、CLRの基本的な機能や役割、そしてその関連技術であるCLI（Common Language Infrastructure）について詳しく解説します。
CLRの概要
CLRとは？
CLR（Common Language Runtime）は、.NETプラットフォームの実行環境として機能し、プログラムコードを実行可能な機械語に変換する役割を果たします。
CLRは、.NET対応ソフトウェアが動作するための仮想マシン（VM）として機能し、以下の主要な機能を提供します。
- JITコンパイル: CIL（共通中間言語）形式のコードを、実行時に機械語に変換します。
- ガーベジコレクション: 不要なメモリを自動的に解放し、メモリ管理を効率化します。
- 例外処理: プログラム内で発生するエラーや例外を管理し、安定した動作を提供します。
- スレッド管理: 複数のスレッドでの並行処理をサポートします。
これにより、開発者は異なるプログラミング言語でコードを書いても、統一された実行環境で動作させることができます。
CLRと.NET Framework
CLRは、.NET Frameworkの一部として提供され、標準クラスライブラリ（BCL）やアプリケーションフレームワーク（ASP.NETやWPFなど）とともに、.NETアプリケーションの実行を支えています。
これにより、開発者は多様な機能やライブラリを活用しながら、効率的にソフトウェア開発を進めることができます。
CLI（共通言語基盤）
CLIの役割
CLI（Common Language Infrastructure）は、.NETの実行環境およびプログラム記述言語の標準仕様を定めた規格です。
CLIは、以下の主要な要素を含んでいます。
- CIL（共通中間言語）: プログラムがコンパイルされる中間形式であり、CLRによって機械語に変換されます。
- CTS（共通型システム）: .NET対応プログラミング言語間で共通に利用されるデータ型の仕様を定めています。
- CLS（共通言語仕様）: .NETプログラミング言語に要求される共通の仕様を規定し、言語間の互換性を保ちます。
- VES（仮想実行システム）: CILプログラムをネイティブコードに変換し、実行するシステムの仕様です。
- メタデータ: 実行プログラム内にコードに関する情報を埋め込み、リフレクションなどの機能を提供します。
CLIの標準化
CLI規格は、2001年にEMCA（現Ecma International）によってEMCA-335として標準化され、その後2003年にはISO/IEC 23271として国際標準となりました。
日本では、2006年にJIS X 3016として翻訳・策定され、国内での標準規格となっています。
まとめ
**CLR（共通言語ランタイム）**は、.NETプラットフォームの中核をなす実行環境であり、異なるプログラミング言語で書かれたコードを統一された形式で実行するための基盤を提供します。
また、**CLI（共通言語基盤）**は、CLRとその関連技術の標準仕様を定め、.NETプログラムの互換性と移植性を保証します。
これらの技術を理解し活用することで、より効率的で安定したソフトウェア開発を実現することができます。
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