CP932(コードページ932)は、日本語の文字コード規格の一つで、特にMicrosoft社のWindows環境で広く使われています。
Shift JISを基に、Microsoftが独自に拡張を加えたこのコードページは、日本語を扱うコンピュータシステムでの重要な役割を果たしています。
この記事では、CP932の概要、その歴史的背景、バリエーションや他のShift JISの拡張について解説します。
CP932とは?
CP932の基本概念
CP932(コードページ932)は、日本語の文字コードの一つで、Shift JIS(シフトJIS)規格を基にMicrosoftが独自に拡張したものです。
Shift JISは日本語文字を効率的に表現するために作られたコードで、特に日本語のコンピュータシステムにおいて広く使用されてきました。
CP932は、MicrosoftのMS-DOS日本語版および後のWindows環境で使われることが多く、現在も日本語の文字コードとして利用されています。
歴史的な背景
CP932は、1980年代にMicrosoftがMS-DOS日本語版を開発する過程で生まれました。
当時、日本語をPCで利用するためには独自の文字コード規格が必要でした。Shift JISを基にして、MicrosoftはCP932を定義しました。
その後、同じく日本市場向けに販売されていたNECのPC-9800シリーズやIBMのPC向けに微妙に異なる拡張が加えられ、IBM版とNEC版のCP932が存在することとなりました。
NEC版とIBM版の違い
NEC版の特徴
NEC版CP932は、主に日本語の丸囲み数字やローマ数字など、記号文字を中心にJIS X 0208規格で未使用の領域(13区)に新たな文字を定義しました。
これにより、NEC版ではその独自の文字群が扱えるようになったのです。
IBM版の特徴
一方、IBM版CP932では、ローマ数字や「(株)」記号、また使用頻度の低い漢字などを追加しました。
これらはJIS X 0208規格外の領域を用いて収められ、388文字が新たに定義されました。
その後、NECはIBM版の文字群の一部をJIS規格内で定義し直し、「NEC選定IBM拡張文字」として整理しました。
Windows-31JとCP932の統合
Windows-31Jの登場
1990年代にMicrosoftは、MS-DOSに代わるOSとしてWindowsを開発しました。
特に、Windows 3.1日本語版の開発において、NEC版とIBM版のCP932を統合する形で新しいCP932が策定されました。
この新しいCP932は、「Windows-31J」としてインターネットで認識され、JavaなどではMS932としても呼ばれています。
CP932の標準化とUnicode
Windows環境では、このCP932が標準的な日本語文字コードとして使用され続け、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)により「Windows-31J」として登録されました。
現在では、CP932に収録されていた文字の多くがUnicodeにも収録され、Unicode対応の環境ではこれらの文字が標準で使用できるようになっています。
Shift JISの他の拡張例
Apple社のMacJapanese
Shift JISコードは、Microsoft以外の企業でも独自に拡張が行われていました。
例えば、Apple社は1990年代にMac OS日本語版で使用するためにMacJapaneseというコードを定義しました。
このコードは、Apple製品の日本語入力に特化したものです。
富士通のR90
また、富士通はOASYSというワープロ専用機で使用していた文字をShift JISに統合し、その後MS-DOS向けにR90というコードを実装しました。
これにより、富士通製のワープロでも日本語文字を適切に表示できるようになりました。
NTTドコモの絵文字追加
さらに、NTTドコモは、自社のiモードサービス向けに絵文字を追加したShift JIS拡張を作成しました。これにより、携帯電話で絵文字を利用するための標準が整えられ、後のスマートフォンでも絵文字が広く使われるきっかけとなりました。
CP932の現在と未来
現在では、Unicodeの普及により、Shift JISやCP932を使用する場面は少なくなってきましたが、特にレガシーシステムや古いアプリケーション、また一部の組織では今も使用されているため、依然として重要な規格であると言えます。
今後も、CP932やその拡張規格は、特定の用途において利用され続けるでしょう。
まとめ:
CP932(コードページ932)は、Shift JISを基にMicrosoftが独自に拡張した文字コード規格であり、主にWindows環境で使用されています。
特に、NEC版とIBM版の微妙な違い、そして後に統合されてWindows-31Jとして標準化された経緯が重要です。
また、Shift JISの他の拡張規格(例えばApple社のMacJapaneseや富士通のR90)も、特定のニーズに対応するために開発されました。
現在ではUnicodeに取って代わられることが多いものの、CP932は今も一部のシステムで重要な役割を果たしています。