**CVSS(Common Vulnerability Scoring System)**は、ソフトウェアや情報システムにおける脆弱性の深刻度を一貫して評価するための標準的な手法です。
セキュリティリスクを適切に管理するためには、脆弱性の評価が不可欠です。
CVSSはその評価を簡潔かつ効果的に行うための指標を提供し、情報セキュリティの三要素(機密性、完全性、可用性)への影響を測定します。
本記事では、CVSSの基本概念、評価方法、および実際の応用について詳しく解説します。
CVSSの基本概念
CVSSとは?
CVSSは、脆弱性の深刻度を評価するためのスコアリングシステムです。
このシステムは、異なるシステムや開発元に依存せず、共通の尺度で脆弱性の深刻度を表現します。
CVSSは以下の三つの主要指標で構成されています。
- CVSS基本値(Base Score): 脆弱性の本質的な深刻度を評価します。
- 攻撃が可能な経路や影響の範囲など、脆弱性自体の性質に基づいてスコアが決まります。
- CVSS現状値(Temporal Score): 脆弱性の現在の状態に基づいて評価します。
- 攻撃手法の公開や対策の進展など、脆弱性に関連する状況の変化を反映します。
- CVSS環境値(Environmental Score): 脆弱性が実際の環境に与える影響を評価します。
- システムの利用者や運用環境に応じた深刻度を示します。
CVSSの評価方法
CVSS基本値(Base Score)
CVSS基本値は、脆弱性の本質的な深刻度を0.0から10.0のスコアで表します。
主に以下の評価項目が含まれます。
- 攻撃前の認証要否: 攻撃を行うために認証が必要かどうか。
- 例: 「不要」(スコア0.704)、「一回必要」(0.56)、「二回以上必要」(0.45)。
- 攻撃の影響範囲: 脆弱性がシステムのどの範囲に影響を与えるか。
これらの項目は、定められた算出式に基づいてスコアが計算されます。
CVSS現状値(Temporal Score)
CVSS現状値は、脆弱性の現在の状況を反映します。
以下の要素が評価に含まれます。
- 攻撃プログラムの入手性: 攻撃に使用できるツールやプログラムの入手可能性。
- 対応策の利用可能性: 脆弱性に対するパッチや修正プログラムの入手可能性。
これらの要素は時間の経過と共に変化し、スコアもそれに応じて変動します。
CVSS環境値(Environmental Score)
CVSS環境値は、脆弱性が特定の環境に与える影響を評価します。
評価項目には以下が含まれます。
- システムの機密性要求度: 脆弱性が影響を及ぼすシステムの機密性の要求度。
- 影響を受ける対象の範囲: 脆弱性の影響を受ける対象範囲の広さ。
この評価は利用者自身が行い、実際の運用環境に基づく深刻度を示します。
CVSSの実際の応用
CVSSは、情報セキュリティの管理やリスク評価に広く利用されています。
具体的な応用例としては、以下が挙げられます。
- セキュリティパッチの優先順位付け: 脆弱性の深刻度に基づき、パッチ適用の優先順位を決定する。
- リスク管理: 脆弱性の評価を通じて、システム全体のリスクを評価し、対応策を講じる。
まとめ
**CVSS(共通脆弱性評価システム)**は、脆弱性の深刻度を一貫して評価するための重要なツールです。
CVSSは、脆弱性の基本的な性質を評価する基本値、脆弱性の現在の状態を反映する現状値、そして特定の環境における影響を評価する環境値の三つの指標で構成されています。
これにより、情報セキュリティのリスク管理や対応策の優先順位付けがより効果的に行えます。
CVSSを活用することで、より迅速かつ的確なセキュリティ対策が可能となります。
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