**DSRC(Dedicated Short Range Communication)**は、自動車と外部設備間での双方向無線通信を可能にする通信規格です。
ETC(電子料金収受システム)、VICS(交通情報提供サービス)、およびITSスポット(ETC 2.0)など、様々な交通関連システムで利用されています。
本記事では、DSRCの基本概念、技術的な詳細、および実際の応用例について詳しく説明します。
DSRCの基本概念と技術的詳細
DSRCの定義と利用
DSRCは、自動車の車載機器が道路側の設備と無線で通信するための技術です。
主に日本では、ARIB STD-T75として標準化されており、5.8GHz帯の電波を利用して、車両から最大約30メートルまでの距離で通信が可能です。
この技術は、交通管理や料金収受などのシステムで広く利用されています。
通信方式と速度
DSRCの通信には、以下のような技術的特徴があります:
- 多元接続:複数の車両と同時に通信するため、時分割方式(TDMA)を採用しています。
- 通信方式:路側設備は全二重または半二重通信、車載設備は半二重通信で行われます。
- 変調方式:
- 振幅偏移変調(ASK):最高1Mbps(メガビット毎秒)の速度で通信可能。
- 四位相偏移変調(QPSK):最高4Mbpsの速度で通信可能。
これにより、高速かつ安定した通信が実現されています。
DSRCの応用例
料金収受システム(ETC)
DSRC技術は、**ETC(電子料金収受システム)**に広く利用されています。
ETCシステムでは、車両に取り付けられたETC車載機と料金所ゲート間で無線通信を行い、スムーズな通行と自動料金決済を実現しています。
交通情報提供(VICS)
**VICS(交通情報提供サービス)**では、DSRCを用いてリアルタイムの交通情報や渋滞情報を車両に提供します。
これにより、ドライバーは現在の道路状況や交通の流れを把握し、効率的な運転が可能になります。
観光情報の配信
**ITSスポット(ETC 2.0)**では、観光地やサービスエリアの情報を車両に配信するサービスが提供されています。
これにより、ドライバーは旅行中に地域の観光スポットや施設の情報を得ることができます。
まとめ
**DSRC(Dedicated Short Range Communication)**は、自動車と外部設備間での効率的な無線通信を実現するための重要な技術です。
ETCやVICS、ITSスポットなどの交通関連システムで利用され、高速かつ安定した通信を提供しています。
DSRCの技術は、今後の交通管理や情報提供の進化に寄与することが期待されており、さらに広範な応用が進むことが予想されます。
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