**ER図(Entity Relationship Diagram)**は、情報システムの設計やデータベース構築において不可欠なツールです。
この記事では、ER図の基本的な構成要素である実体、関連、属性について詳しく解説し、その重要性と具体的な応用例を紹介します。
ER図の基本構造
ER図の定義
ER図は、実体(entity)、関連(relationship)、**属性(attribute)**の三要素を用いて、情報システムが扱う対象を視覚的に表現したものです。
これにより、システム内のデータの構造や関係性を明確に理解することができます。
実体(エンティティ)
実体は、システムが取り扱う現実世界の要素を抽象化したもので、矩形で表されます。
実体は必ずしも物理的な存在とは限らず、情報や行為も含まれます。
例えば、以下のような実体が考えられます:
- 顧客
- 注文
- 商品
関連(リレーションシップ)
実体間の関係性を表す要素が関連です。動詞として表現され、図中では菱形または矩形を結ぶ線分で示されます。例えば、「顧客が注文を行う」という関係は、顧客と注文の間の関連として表現されます。
属性(アトリビュート)
属性は、実体や関連の性質を表す情報であり、楕円で表されます。
属性は実体や関連と線分で結び付けるか、実体の矩形内に列挙します。
例えば、「顧客」という実体の属性には「名前」「住所」「電話番号」が含まれます。
多重度(カーディナリティ)
ER図では、実体間の関係の多重度を示すことができます。
これにより、二つの実体の関連が一対一、一対多、多対多であるかを明確にできます。
IE記法のような特定の記法では、関連の端に特定の記号を使って数を表記します:
- |: 必ず一つ
- ○: 0を含む任意個
- 三股: 任意の複数
ER図の記法
記法の種類
ER図は1975年にマサチューセッツ工科大学のピーター・チェン氏によって考案され、現在でも広く使用されています。
オリジナルの記法は「Peter Chen記法」と呼ばれ、これを基に様々なバリエーションが生まれました。
主な記法には以下があります:
- IDEF1x記法: 米国立標準技術研究所(NIST)によって規格化されたもの
- IE記法: ジェームズ・マーティン氏によって考案されたもの
ER図の応用
データベース設計
ER図はデータベースの設計において非常に有用です。
データベースの構造を視覚的に示すことで、データの整合性や関連性を理解しやすくします。
これにより、開発者は効率的にデータベースを構築できます。
システム分析
ER図はシステム分析の段階でも役立ちます。
システムがどのようなデータを扱うのか、またそのデータがどのように関連し合っているのかを明確にすることで、要件定義や仕様書作成においても役立ちます。
まとめ
**ER図(Entity Relationship Diagram)**は、情報システムの設計やデータベース構築において重要な役割を果たします。
実体、関連、属性という三要素を用いることで、データの構造や関係性を視覚的に表現し、効率的なシステム開発をサポートします。
ER図を正しく理解し活用することで、データの整合性を保ちながら、より高品質な情報システムを構築することが可能です。
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