**EVM(Earned Value Management)**は、プロジェクトマネジメントにおいて進捗状況を把握・管理するための重要な手法です。
本記事では、EVMの基本概念、主要指標、そしてその実践的な応用について詳しく解説します。
EVMを理解することで、プロジェクトのコストとスケジュールの管理をより効果的に行うことができます。
EVMの基本概念
EVMとは?
EVMは、プロジェクトの進捗を金銭的な価値に換算して把握する手法です。
プロジェクトは**WBS(Work Breakdown Structure)**を用いて細かい工程に分割され、各工程にかかる予算コストを見積もります。
この見積もりを元に、計画値(PV)や実コスト(AC)などの指標を算出し、プロジェクトの状態を評価します。
主要指標の理解
- アーンドバリュー(EV): ある時点までに完了した工程の予算額の合計。
- プロジェクトの進捗を評価する基本的な指標です。
- 計画値(PV): 各時点での計画に基づく予算額の合計。
- プロジェクトが予定通り進行しているかを確認するための基準です。
- 実コスト(AC): 実際にかかったコストの合計。
- これにより、計画と実績の乖離を評価できます。
EVMの指標とその計算
スケジュール差異(SV)とコスト差異(CV)
- SV(Schedule Variance): EVとPVの差。正ならばスケジュールが順調、負ならば遅延が生じています。
- CV(Cost Variance): EVとACの差。正なら予算内、負なら予算超過を示します。
例を用いた理解
例えば、3つの工程からなるプロジェクトで、各工程の工期が1か月、予算が100万円とします。
2か月経過した時点で、次のようなデータが得られました:
- 完了した工程のEV: 100万円
- 計画されたPV: 200万円
- 実際のAC: 150万円
この場合、
- CV = EV – AC = 100万円 – 150万円 = -50万円(予算超過)
- SV = EV – PV = 100万円 – 200万円 = -100万円(遅延)
このように、EVMを用いることで、進捗状況を金銭的に表現でき、視覚的に状況を把握することが可能です。
グラフによる視覚化
EVMでは、進捗状況を折れ線グラフで視覚的に表現します。
横軸に時間、縦軸に金額を取り、PV、EV、ACの3つの線を描画します。
これにより、プロジェクトの状況が一目でわかります。
グラフの解釈
- PVが最初に上昇し、その後EVとACが徐々に上昇します。
- EVがPVを上回っている場合、スケジュールが順調であることを示します。
- ACがEVを上回っている場合、予算超過を示します。
EVMの意義と応用
プロジェクト管理の標準手法
EVMは1960年代に米軍で考案され、現在ではプロジェクトマネジメントの標準的な手法とされています。
アメリカ政府では一定額以上の入札に対してEVMを適用することが義務付けられています。
日本でも公共調達においてEVMによる進捗管理が増えてきています。
補助的な指標
EVMには、CPI(コスト効率指数)、SPI(スケジュール効率指数)、EAC(完成時総コスト見積り)、ETC(残作業コスト見積り)、VAC(完成時コスト差異)といった補助的な指標もあります。
これらを用いることで、さらに詳細なプロジェクト分析が可能となります。
まとめ
**EVM(アーンドバリュー・マネジメント)**は、プロジェクトの進捗状況を効率的に把握するための強力なツールです。
コストとスケジュールの管理を一元的に行うことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。
EVMの指標や計算方法を理解し、実践することで、より効果的なプロジェクト管理が実現できるでしょう。
さらに参考してください。