ツイストペアケーブル(twisted pair cable)は、LANケーブルの中でもよく使われるケーブルの一つであり、通信の安定性とノイズ軽減において優れた性能を発揮します。
本記事では、ツイストペアケーブルの特徴や、UTPケーブルとSTPケーブルの違い、また各カテゴリーの用途別の違いについて詳しく解説します。
どのLANケーブルが最適なのかを判断する際の参考にしてください。
ツイストペアケーブルとは?
ツイストペアケーブルは、二本の絶縁された信号線を撚り合わせて二重螺旋構造にした通信ケーブルです。
撚り合わせることで、外部からの電磁ノイズの影響を抑え、通信の安定性を向上させる仕組みです。
現在はLANケーブルとして最も普及しており、家庭やオフィスのネットワークで広く使われています。
UTPケーブルとSTPケーブルの違い
UTPケーブル(非シールドツイストペアケーブル)
UTPケーブル(Unshielded Twist-Pair cable)は、ケーブルがシンプルな構造で、安価で取り回しやすいため、家庭用のネットワークやオフィスのLAN環境で広く利用されています。
電磁ノイズに対する耐性は低いものの、一般的な用途であれば十分な性能を発揮します。
STPケーブル(シールド付きツイストペアケーブル)
STPケーブル(Shielded Twist-Pair cable)は、UTPケーブルに対して**追加のシールド(遮蔽)**が施されています。
このシールドは、各信号ペアやケーブル全体を覆うことで、電磁波の漏洩や干渉を防ぎ、ノイズによる通信品質の低下を抑えます。
そのため、産業環境や電磁波干渉が多い場所で使用するのに適しています。
ツイストペアケーブルのカテゴリーとその用途
ツイストペアケーブルには、カテゴリーと呼ばれる規格があり、伝送可能な周波数に応じて段階的に定められています。
ここでは主要なカテゴリーについて紹介します。
- カテゴリー1(Cat1):音声通信用で、電話線などに使用。伝送周波数は1MHzまで。
- カテゴリー3(Cat3):最大16MHzの周波数に対応し、低速データ通信に利用。
- カテゴリー5(Cat5)および5e(Cat5e):100MHz対応で、LANケーブルの標準的な選択肢。
Cat5eは高品質で、1Gbps通信も可能。
- カテゴリー6(Cat6):250MHzまで対応し、高速なデータ通信や動画ストリーミングに適する。
10Gbpsまでサポート。
- カテゴリー7(Cat7):最大600MHz対応。
シールド構造が強化されており、安定した高速通信に適する。
特に大規模なデータセンターや産業用ネットワークで使用されます。
シールドの種類と表記方法
STPケーブルのシールドにはいくつかの種類があります。
以下のような表記法があり、用途に応じたシールド構造を選ぶ際の参考になります。
- F/UTP:全体が金属薄膜で覆われており、ペアごとのシールドはなし。
- S/STP:全体とペアごとに組編シールドが施され、ノイズ干渉が多い環境で使用。
また、歴史的経緯から混乱がある場合もあるため、FTPやSTPの意味を確認してから選ぶことが重要です。
具体的な用途と選び方のポイント
- 家庭用LAN環境:UTPケーブル(Cat5eやCat6)で十分対応可能。
- オフィス・商業施設:信号干渉が少ない場合はUTPケーブル(Cat6やCat6A)、干渉が多い場合はSTPケーブル(Cat7)が推奨。
- 工場・データセンター:高い安定性が求められるため、シールド構造が強化されたSTPケーブル(Cat7以上)を使用。
まとめ
ツイストペアケーブルには、UTPとSTPという二つの主な種類があり、用途に応じた適切な選択が通信の安定性を左右します。
また、カテゴリーによって対応する周波数や速度が異なるため、使用環境に合った規格を選ぶことが重要です。
本記事で紹介した基礎知識を参考に、自身のネットワーク環境に最適なツイストペアケーブルを選んでください。